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2007-12-10 00:00
イラン核兵器開発中断の情報公開を歓迎する
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
米国の16情報機関が加わるNIE(国家情報評価)がイランの核兵器開発は2003年秋いらい中断しているという分析結果を明らかにした。米あるいはイスラエルによるイラン空爆の可能性が取り沙汰されていた折から、貴重な報告である。これに対し、ブッシュ大統領は「イランが危険な存在であることに変わりない」と苦し紛れの弁解をしているが、イランの核兵器保有と拡散という現実が遠いことが確認されただけでも、「危険な存在ではなくなった」ことになる。
エルバラダイIAEA(国際原子力機関)事務局長は、「イランが核保有するとしても、5年から8年先の話だ」と危機切迫をトーンダウンしていた。政府機関が大統領に不利な情報でも公開する米国社会はまだしも健全である。イラクで失敗したことの教訓であろう。米国がイランと対決する構図は不毛な選択であり、中東は混迷を深める。ブッシュ政権の残り任期の課題は、中東和平に本腰を入れ、パレスチナ・イスラエルの平和共存を定着させ、イラクの治安を回復することだ。
イランも本音では米国との国交正常化を望んでいる。朝鮮半島非核化に次いで米国が中東の安定に貢献できれば、ブッシュは歴史に残る名大統領になりうる。今からでも遅くない。ライス国務長官の健闘を期待する。ネオコンの残党に耳を貸してはならない。
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