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2007-12-10 00:00
日本は核軍縮・不拡散のための国際的圧力に参画せよ
角田勝彦
団体役員・元大使
最近の報道によれば、政府は、12月6日、明年の北海道洞爺湖サミットの主要議題案を(1)地球温暖化対策(2)アフリカ支援(3)核不拡散(4)原油高騰など経済課題への対処、とする方針を決め、今後各国と調整に入るという。とくに(3)は「日米首脳会談で福田首相は日本外交のビジョンを提示せよ」と題する11月12日付けの本欄への投稿(456号)で「日本の核軍縮に関する努力をもっと売り込め」と主張した筆者として、歓迎するところである。同じ12月6日、我が国が提出した核軍縮決議案が、国連総会本会議において賛成170、反対3、棄権9の圧倒的賛成多数で採択されている。NPT体制を基礎とする我が国のいっそうの努力は、福田外交への内外の評価を高めることになろう。
イランと北朝鮮に関する最近の動きは、軍縮・不拡散が単なるお題目でなく、至急の対処を要する現実の問題であることを示している。イランについて、米政府が12月3日発表した国家情報評価(NIE)は、イランが国際社会の圧力を受けて2003年秋に核兵器開発を中断したと記した。イラン国内では、アフマディネジャド大統領は、これを「イラン国民に対し悪意を持つ者へのとどめの一撃」だと強調し、「イラン国民の勝利宣言だ」と称賛した。これにより「3度目の安保理制裁決議は困難になった」などと国際的圧力の緩和を示唆する意見もある。北朝鮮について、米政府は年末が期限となっている北朝鮮の核計画申告について越年容認の姿勢を見せ、ブッシュ大統領から北朝鮮の金正日労働党総書記あて12月1日付けの親書の書き出しで「ディア・ミスター・チェアマン(拝啓、国防委員長殿)」と敬意を表している。
自らがイラクとともに「悪の枢軸」と名付けたこの両国への米国の対応には、大きな変化があったように見られ勝ちである。しかし、基本姿勢に変わりはない。イランについて、NIEは「核兵器開発中断後もウラン濃縮を継続し、2010-15年に核兵器を開発することが可能」としており、米国防総省は軍事的警戒を緩めないとしている。 すでに核実験を行った北朝鮮について、ブッシュ大統領は12月1日付け親書で「完全な申告」の必要性を強調し、その申告では「すべての核施設、核物質、核計画」「ウラン濃縮の計画と活動」「核の拡散問題」などについて実態を明らかにするよう改めて求めたという。米国が核施設の無能力化と核計画の完全申告を、北朝鮮のテロ支援国家指定解除の主要条件としているのは、拉致問題との関連からも、我が国として支援すべき態度だろう。
軍事的脅威の度合いは、相手の能力と意思の掛け算で決まる。意思については最悪がまず想定され、透明化が進むにつれ善意への信頼が増加していく。IAEAは、核の脅威について、基本的手段であり、北朝鮮やイランのIAEA忌避は、その意思に疑念を抱かせる原因になる。我が国としては、具体的国益面からも、軍縮・不拡散体制の維持・強化のための国際的圧力にいっそう参画していくべきだろう。
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