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2007-12-17 00:00
国会会期を通年にせよ
大藏雄之助
評論家
貴族・僧侶などの特権階級以外のものが国政に参与できるようになったのはフランス革命直前の三部会からであるが、その時新たに加わった第三身分の「市民」というのも裕福な階層で、議員は無報酬だった。わが国では大正14年に普通選挙法が制定されて、禁治産者と服役者を除く、25歳以上の男子に選挙権が与えられたが、それ以前は「直接国税10円以上を納めている者」に限られていた。ましてやその中から選ばれる議員は有産階級に決まっており、歳費はほとんど支給されず、議員は名誉職の色合いが強かった。したがって、議員は収入を確保するための本業に忙しく、議会は片手間であるから、会期も短かった。
欧米諸国でも同じような経過をたどったが、社会が複雑になるにつれて、片手間の審議ではすまなくなり、無産者でも議会に専念できるように議員報酬が引き上げられ、それとともに通年国会に移行していった。日本の国会議員の待遇はすべてを総合して世界最高の水準にあるにもかかわらず、国会は1年の半分程度しか開かれていない。野党は重要法案の廃案を狙って時間を稼ぎ、一方で会期末には日切れ法案をどさくさ可決する。今国会もすでに一度会期を延長したものの、審議停滞により再延長の運びとなった。野党は当然反対して策を講じ、またそこで国会は空転し、国民の税金が消える。
選挙に勝った政党の政策が着実に実施されるのには何の疑念もない。現在野党の民主党も、次に政権を取ったときには同じことを希望するだろう。常に国会を開いた状態にしておく(途中に年末年始や夏季の休暇を設定することを妨げるものではない)ことは、緊急事態の際に政府が国会に諮ることなく独自の行動をとることを抑制する上でも有効である。通年国会への制度的な変更には憲法の改正を必要とするが、実質的には会期を当初に最大限に設定することで可能である。与野党の英断を望む。
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