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2026-10-26 00:00
日本国自衛隊を強靭化し日本防衛を盤石に
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
日本国自衛隊は「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とする」(自衛隊法3条)実力組織である。したがって、日本国自衛隊は、上記の崇高な任務を全うするに足りる実力すなわち防衛力を保持しなければないのであり、これは1億2300万人の日本国民から託された法律上の崇高な権利であり義務である。日本国自衛隊が保持しなければならない具体的な防衛力の水準は、日本の安全を守るため、周辺国の軍事力の水準を十分に考慮しなければならない。そうでなければ上記の崇高な任務を達成できないからである。したがって、いわゆる「専守防衛」も「必要最小限度」も絶対的概念ではなく中国、ロシア、北朝鮮など、周辺国の軍事力の水準を十分に考慮し、何よりも日本の安全を守る観点から柔軟に解釈運用すべき相対的概念である。
すなわち、周辺国が核兵器を保有しておれば、日本の安全を守るため、核保有国から「核の傘」(拡大核抑止)の提供を受ける必要があり、そのためにも核保有国との同盟関係の構築が不可欠となる。具体的には日米同盟関係に基づく「核抑止力」の獲得である。これも日本の安全を守るための「専守防衛」及び「必要最小限度」に相当する。今後さらに日本を取り巻く安全保障環境が悪化すれば、「核抑止力」強化のために「非核三原則」の見直しによる米国との「核持ち込み」や「核共有」も安全保障上の選択肢として重要な検討課題となろう。いわゆる「核廃絶」は人類の理想ではあるが、ロシア・プーチン政権のように、ウクライナ戦争において核の使用を否定せず、「核恫喝」を繰り返す国が存在する限り、日本国民の安全を守るためには「核」に対するあらゆる選択肢を排除すべきではないといえよう。
また、周辺国の通常兵器に対しても、日本の安全を守るため、日米同盟関係に基づき、防衛力の整備強化が必要となる。とりわけ、「台湾有事」「尖閣有事」など力による現状変更を否定せず核を含む大軍拡を進める中国に対しては、米国と連携協力し、力による現状変更を抑止するに足りる防衛力が必要となる。具体的には、相手国のミサイル発射基地などをたたく敵基地攻撃能力(反撃能力)としての射程1000キロ~3000キロの長射程ミサイルの保有などである。これは、極超音速弾道ミサイルなど、周辺国のミサイル兵器開発の進歩により、ミサイル攻撃に対する迎撃が困難となり、日本の「ミサイル防衛」の限界が明らかになったためである。したがって、長射程ミサイルなどの「反撃能力」保有も日本の安全を守るための「専守防衛」及び「必要最小限度」に相当する。2022年2月のロシアによるウクライナ侵略を契機として、長射程ミサイルの保有などを含め、日本の防衛力の整備強化に関しては、共産党など一部の野党が反対するのみであり、自民・維新・中道・国民・公明のみならず、立憲民主党もこれを大筋で容認している。これは立憲民主党などは国家・国民の安全に責任を持つ政権交代の可能性がある政党だからである。政権交代の可能性がない共産党など一部の野党は、長射程ミサイルなどの敵基地攻撃能力の保有は憲法9条に基づく「専守防衛」及び「必要最小限度」に違反すると主張する。しかし、最高裁は、憲法9条について、日本を守るための自衛権と日本を守るために必要な防衛力の保有を認めているから、上記主張は最高裁判例の趣旨にも反している(最高裁昭和34年12月16日砂川事件大法廷判決。刑集13-13-3225参照)。
一国の安全保障上、同盟関係がいかに重要であるかは、ウクライナ戦争が証明している。仮にウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟していたならば、今回のロシアによるウクライナ侵略はなかったと言えよう。なぜなら、ウクライナに対する武力攻撃はNATO加盟国全体に対する武力攻撃とみなされ、ロシアは、強力な集団安全保障体制にあるNATO諸国の反撃を覚悟しなければならないからである。長年中立政策を堅持してきたフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟したのもロシアの脅威から自国を守るためである。それほどに、NATOの集団的自衛権は強力なのである。
日本の安全保障にとって、日米同盟が極めて重要であることは言うまでもない。米国の「核の傘」をはじめ、原子力空母・戦艦・原子力潜水艦を含む横須賀米第7艦隊、沖縄米海兵隊、F-35長距離戦闘爆撃機など保有の岩国米空軍基地、極超音速弾道・巡航ミサイルなど、陸・海・空の5万人を超える在日米軍基地の抑止力は極めて強力である。もし、台湾有事の際に中国が在日米軍基地にも攻撃を加えれば、中国は安保条約5条に基づき米軍の報復攻撃を受ける可能性が高い。このことは、中国による台湾侵攻と日本攻撃を強力に抑止するであろう。ところが、共産党など一部の野党は、日米同盟の抑止力を認めず、この日本の安全保障上きわめて重要な日米同盟の破棄を主張している。その理由は、「アメリカ言いなり」の日本は、集団的自衛権を行使し日米同盟によって米国の戦争に巻き込まれるからと言う。しかし、中国にとっては、日米同盟を破棄した日本は「核の傘」を失うなど安全保障上きわめて弱体化、空洞化し抑止力が著しく低下するから、いつでも尖閣諸島を武力で奪取できるようになる。なぜなら、大軍拡により中国と日本の軍事力の格差は拡大しているからである。このように、日米同盟の破棄は、「核の傘」(核抑止力)の喪失をはじめ、日本の安全保障上の弱体化、空洞化、抑止力の著しい低下をもたらし、力の真空状態が生じ、侵略を誘発し、中国を喜ばせ、日本が中国の「属国」になり果てる危険性すら否定できないと言えよう。
日本国自衛隊は日本国を守る最後の砦である。したがって、陸・海・空自衛官の抜本的増員、自衛官の抜本的待遇改善、自衛官の国内海外研修制度整備拡充、陸・海・空の統合防衛力体制強化、敵基地攻撃能力保有、長射程極超音速弾道ミサイル・巡航ミサイル保有拡大、防衛装備拡充への先端科学技術活用、防衛装備の機械化無人化促進、人工知能搭載ドローン兵器(無人機)開発配備促進、原子力潜水艦保有、原子力空母保有、F35ステルス長距離戦闘爆撃機保有、無人偵察爆撃機開発促進、イージス護衛艦抜本的増強、宇宙空間戦略推進、サイバー・電磁波・レーザー・宇宙空間兵器開発促進、超高性能レーダー開発促進、超高性能偵察衛星開発促進、ミサイル防衛能力の抜本的強化、防衛費の抜本的拡充、武器輸出促進、防衛産業の抜本的基盤強化、次期戦闘機共同開発など欧米諸国をはじめ同盟国・同志国・友好国との防衛協力関係の抜本的強化、インド・アジア・太平洋における共同防衛訓練拡大、対外情報収集活動強化、スパイ防止法制定など、対中・対ロ・対北朝鮮への抑止力・対処力の強化に一層注力し、日本国を守る日本国自衛隊を一層強靭化し、日本防衛を盤石なものにすべきである。
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