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2008-01-08 00:00
連載投稿(2)円と日本経済の沈下(2)
鈴木淑夫
元衆議院議員・鈴木政経フォーラム代表
超低金利→円安促進→輸出主導型成長を続けるため、政府はいまだに「デフレが続いている」と言っているが、実は一般物価水準の持続的低下である「デフレ」は、2004年までに終わっている。その後2007年始めまで進行していたのは、国内企業物価の上昇(資源・エネルギーなど素材価格の上昇)と消費者物価の下落(デジタル製品やサービス料金の下落)、投資デフレーターの上昇と消費デフレーターの下落、という価格体系の変化である。
総需要デフレーター(企業部門の総産出価格)は2005年から上昇している。他方、企業部門の総投入価格(賃金と輸入デフレーター)のうち、輸入デフレーターは上昇しているものの、賃金は下がっているため、差し引き企業部門には総需要デフレーターの上昇による収益増加がもたらされている。どこにもデフレ・スパイラルの心配などない。価格体系変化の原因は、グローバル化、IT化による価格、料金、賃金、家賃、地代などの国際的平準化がもたらす内外価格差の縮小(日本の国内物価割高の解消過程)と、新興国の発展に伴う資源・エネルギー価格の国際的上昇である。
日本は経常収支の黒字が累積して超債権国になっており、消費者物価の下落で超物価安定国になっている。それなのに名目円相場は実効レートで見て2000年度以降下落傾向にある。この基本的な原因は、価格体系の変化をデフレ継続と見誤り、デフレが終わった2005年以降もゼロ金利・量的緩和などの超金融緩和政策を続けているためである。この結果、物価で調整した実質円相場=交易条件は大幅に悪化している。自国製品を安く売り、外国製品を高く買い、それでも儲かる黒字を使って赤字国米国の発展を低金利でファイナンスする「お人好しで滑稽な日本」を演じているのだ。その陰で、国内では内需関連企業、中小企業、家計、地方の回復が置き去りにされ、格差拡大の下、国民生活は向上していない。これが円と日本経済が国際的に沈下している中身である(詳しくはhttp://www.suzuki.org参照)。(おわり)
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