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2008-01-14 00:00
暗い予感のする今年の日本
大藏雄之助
評論家
わが国にとって去年は冴えない年だったが、今年はどうもさらに暗い年になりそうな予感がする。最も憂うべきは北朝鮮問題である。金正日国防委員長はかねてから要求していたアメリカとの単独交渉を実現し、核保有国の地位を獲得して、わが世の春であろう。イラク・イランで手詰まりのブッシュ政権は残り短い任期中に功を焦るあまり、老朽化している寧辺の核施設の閉鎖だけで国交正常化をしかねない勢いである。日本は拉致問題が未解決であるとして、6カ国協議で割り当てられている北朝鮮へのエネルギー供与を実施していないが、米・中・韓・露が合意したとき、福田政権は断固として不同意を主張することができるだろうか。
2月26日にニューヨーク・フィルが平壌で公演するのは悪しき前兆である。その前日に韓国大統領に就任する李明博氏は盧武鉉現大統領ほど北にのめり込むことはあるまいが、北との対決姿勢を期待することはできない。日韓関係自体が抜本的に改善される見込みも薄い。
中国は旧臘の福田首相の訪問を異例の厚遇で迎えた。すでに日本以上の石油輸入国となった中国は、日本の省エネ技術等の導入を求めており、短期的には北京オリンピックへの支援も欲しいところである。しかし、肝心の東シナ海ガス田開発問題では、桜の季節の胡錦涛国家主席の訪日時の進展をにおわせながらも、実質ゼロ回答だった。しかも台湾問題では改めて中国支持を約束させられた。かつて「政冷経熱」と言われたが、今度は「表熱裏冷」だ。
その中国に対して、アメリカの最有力大統領候補のヒラリー・クリントン女史は重視を強調し、日本に言及することはほとんどない。アメリカがこれほど上記諸国と友好関係にあるのなら、アジアで戦乱が起こる心配はない。アメリカが「最重要同盟国」を軽視するならば、日本はインド洋での給油活動は再開するとしても、「極東でのアメリカ軍の再編成には協力しない」と言うべきではないか。
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