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2008-01-28 00:00
中国におけるサブプライム問題の影響について
伊東道夫
会社員・経済学博士
1月12日に開催された「第12回中国資本市場フォーラム」で中国証券監督管理委員会の尚福林主席は、サブプライム問題は短期的には中国金融市場に大きな影響を及ぼすとは思えないが、長期的に見ると影響が出る可能性も高いと発言した。とはいえ、1月24日の国家統計局の記者会見発表によると、2007年度の中国国内総生産(GDP)は、11.4%と依然高い伸び率を示している。この数字が信頼できるものであれば、サブプライム問題を短期的な問題として楽観視することもできるであろうが、気になるのは、石油の価格高騰もあり、また、2007年の消費者物価指数(CPI)が4.8%も上昇していることである。特に、12月単月の上昇率は6.5%で、今年に引き継いでいくようである。今年も、引き続き物価問題は国民の重大関心事となっていくであろう。
2008年度は、オリンピック年でさらに物価の上昇が懸念される中、中国政府は物価上昇を抑制することに躍起で、最近では頻繁に食品の物価抑制策などを打ち出して、国民にアピールしている。しかしながら、国民の不安は消えることなく、また、国民唯一の資産増加策である株の値上がりによる収入増についても、サブプライム問題によって一気に地獄を見た国民も多かったようである。個人的には大きなお金を用意できずに、借金をして株に熱を上げている国民も多い。借金したお金で株を買い、値が上がればその利益で借金返済ではなく、自動車購入やマンション購入に走るとすると、株価が今回のように下落すれば、社会に与える影響は容易に想像できる。
中国政府は、最近、国有企業の2007年度の経営状況を発表した。昨年の国有系企業の売上高は18兆元、利益は1兆6200億元で31.6%の増加だったと説明を行っているが、国民の収入状況には触れていない。国家の財源が潤っても、国民一人ひとりの収入が増えなければ、物価上昇によって生活は苦しくなり、生活レベルの格差が広がって、不満が増えるであろう。政府要人の腐敗問題やオリンピック準備による土地再開発に伴う立ち退き問題など、解決して行かなくてはいけない問題は少なくない。経済発展を遂げる中国にとって、サブプライム問題をきっかけに問題意識を高め、オリンピックを無事乗り切るためにも、10年以上発展を続けてきている経済運営の手腕を発揮し、更なる飛躍をして、世界経済を牽引してもらいたいものである。
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