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2008-02-04 00:00
定住外国人に対する地方参政権付与に賛成
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
民主党が永住外国人に対する地方参政権を認める法案を提出する方針を決めたのは喜ばしい。本件は、公明党が早くから提唱していたものの、自民党内に反対が多く、法制化は実現していなかった。定住外国人に地方参政権を付与するのは世界の常識である。
私自身1980年代にフランスに6年間在住していた際、市町村レベルの参政権を与えられていた。在韓日本人にもやはり地方参政権が認めたれているが、日本は、日本生まれ、日本育ちの「在日」にも認めてこなかった。日本には60万の日本生まれ、日本育ちの在日韓国・朝鮮人がいて日本社会の一員を構成しているが、彼らには、たとえ市町村レベルでも選挙権も被選挙権も与えられていない。
私は、拉致問題が未解決だからといって北朝鮮バッシングには与さない。それで問題が解決するわけではないからだ。日朝国交正常化の早期実現こそが日本の国益に資すると確信している。北朝鮮の対外政策の理解者を自認し、朝鮮総聯の立場に同情してもいるが、何から何まで支持し、賛同しているわけではない。その一例として、総聯が参政権を要求せず、むしろ「要らない」という立場をとっていることがある。
日本の住民として納税の義務を果たしながら、権利を行使しようとしないのは自己矛盾だ。過去の日本の「同化政策」に反対し、それを警戒しての方針だが、地方参政権を取得したからといって、在日朝鮮人が同化されることにはならない。むしろ少数民族の権利を主張する機会を自ら放棄することで、同化に手を貸しているようなものだ。その点は参政権を要求している「民団」(韓国系)の方が正しい。
自民党保守派の反対理由には、排外思想のほかに、「在日」のなかに過激分子が存在していることがあったが、朝鮮総聯が参政権を返上しているため、かえって好都合だったわけだ。しかし総聯はいまや組織解体寸前の状態にある。金正日総書記も、「日本社会の一員として愛され、信頼される存在たれ」と指令しているという。であるならば、時代錯誤的な反対を撤回して、民団と足並みを揃えて参政権付与を要求すべきだ。そうでないと、「要らない」という者に与える必要はない、という付与反対の論理に手を貸すことになりかねない。
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