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2008-02-18 00:00
目にあまる鳩山邦夫法相の暴言・妄言
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
暴言・妄言をくりかえしている鳩山邦夫氏は、法相として不適格だ。鹿児島県議選をめぐる「志布志事件」で無罪判決を勝ち取った被告が「冤罪ではなかった」と発言し、無知をさらけ出した。すべての無罪判決が冤罪とは限らないことは事実だが、志布志事件が冤罪だったことは検察当局も認めている点であり、法相にあるまじき軽率な発言である。
鳩山法相は、「友人の友人がアルカーイダだ」と発言したり、「法務大臣の署名なしに自動的に死刑を執行できないものか」と思いつきを述べたり、軽率な発言が多すぎる。就任の際には「死刑には犯罪の抑止効果がある」と、事実に反する発言をしていた。死刑に犯罪抑止効果がないことは、諸外国の例で実証されている。
それゆえにこそ、死刑廃止が世界の潮流になっているのだ。第一に犯罪抑止効果がないこと、第二に冤罪の可能性を排除できないこと、そして何よりも、たとえ殺人犯でも彼の「生命権」(生きる権利)を奪うことは国家にも何人にも許されないという認識が広まったこと、これが死刑廃止の論拠であり、国際世論になりつつあるのだ。ところが日本人ほど死刑制度を支持し、存続を当然と思っている国民は他にいない。かつて、「人の命は地球より重い」と言って、赤軍派のハイジャック犯を超法規的措置で放免した日本の首相は、テロに屈したとして国際社会の冷笑の的になったが、“因果応報”を素朴に信じ、死刑だけは無条件に受け入れるのは矛盾している。
1989年、国連総会で「死刑廃止条約」が採択されたとき、これに反対投票をしたのは、先進国では日本と米国だけだった。米国の反対理由は「死刑の存廃は州の権限に属する」というものだったが、死刑廃止の州が増える傾向にある。ヨーロッパ諸国は全面的に死刑廃止。アジアでも韓国、フィリピン、カンボジア、東ティモール、ブータンなど死刑廃止国が増えつつある。
とにかく鳩山法相は死刑廃止の国際世論には無頓着で、就任以来5カ月ですでに6人の執行命令に署名し、処刑させている。その上、自動的執行を提唱するなど、言語道断である。人命を左右する権限をもつ官庁の最高責任者として軽率きわまりない。本人の個人的関心からいえば、鳩山氏は環境相が適任だったに違いない。ミスキャストである。
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