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2008-02-25 00:00
中国産品の「食の安全」について思う
伊東道夫
会社員・経済学博士
さる2月21日、来日中の唐家璇中国国務委員が福田首相と会談を行った。4月には胡錦濤国家主席が日本を公式訪問する予定で、唐国務委員の来日はその調整のためであった。会談内容は、やはり中国製冷凍ギョーザの中毒事件にも及んだようで、この問題に対する中国側の対応は早かった。事件発生後、1月30日の夜には検疫当局による調査が始まり、2日後には専門家チームの日本への派遣を決めた。異例の早さである。
今年は日中平和友好条約締結30周年にあたり、8月には北京オリンピックも控えており、世界に与える影響を考えてのことであろうが、この敏速な対応には正直驚いた。唐国務委員も福田首相と会談を行った際、被害者へのお見舞いと1日も早い真相解明の意欲を表明し、食の安全に関する中長期的な協力を提案した。このことは、面子を非常に大切にする民族の高官とは思えない率直なものであった。いかに中国政府がこの事件を重視しているかが伺える。
こういった中国政府の動きとは若干温度差のある行為が目立ったのが、中国の国家品質監督検査検疫総局の記者会見であった。記者会見で、副総局長は、メタミドホスについて「日本でも試薬用のものは買える」とか、密封された包装の内側から毒物が検出された事実についても「再度の密封は一般市民でも出来る」と説明し、間接的に中国での混入の可能性を否定している。
民族の文化、歴史、物の考え方が違うにしても、政府高官も訪日し、関係改善に努力しようとしているこの段階で、日本側が「また中国式で逃げようとしているのか」と思いかねない「事件に対する否定的態度」を取ったのは、中国にとって得策ではなかったのではないか。中毒事件は、ギョーザだけにとどまらず、今では肉饅頭、アスパラガスなどにも広がっており、問題とされる生産場所も、青島を含めいろいろな場所に飛び火している。
最近、日中双方の公安当局の情報交換及び今後の協力体制について協議が始まっている。この問題は、一つ間違えば死に至ることも十分考えられ、国際問題に発展する可能性も否定できない。この重要な局面に日中双方が前向きに解決策を見出せるよう、協議を行ってほしいものである。食の問題は、双方にとって、或いは人類にとって、非常に重要な問題であることを忘れないでほしい。
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