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2008-02-29 00:00
国際オリンピック委員会(IOC)の出番ではないか
杉浦正章
政治評論家
ギョーザ事件をめぐって日中の捜査が亀裂を生じ、オリンピック選手団の「食の安全」に重大な疑問を残す形となっている。日本では、実行犯は中国に存在するであろう殺人未遂罪として捜査が続けられているが、現状では真相不明のままでオリンピックが開催されかねない事態となってきている。選手の健康に責任を持つ国際オリンピック委員会(IOC)は、この際日中政府双方から事情を聴取し、オリンピック開催可能かどうかも含めて、再調査すべきである。事態は急を要する。
日本の科学捜査の結果では「ギョーザ事件は中国での毒物混入の可能性がほぼ確実」という結果が出ている。これに対して中国公安省では「(有機リン系農薬成分の)メタミドホスが袋の外から中にしみこんだ可能性がある」として、日本での犯罪を示唆する記者会見をした。これは日本側の捜査結果と真っ向から対立するものである。
これまで日本オリンピック委員会(JOC)は、同問題がオリンピックまでには解決されるだろうとの前提に立ちながらも、選手には「食事は選手村でとる。水も選手村にあるものを飲む」と伝えている。おそらく財政能力のある主要国は、JOCにならう可能性が強いが、選手村に料理設備を整えて自国から食料を運べない国はどうするのか。
北京五輪組織委員会は、選手村での食材の流通を無線ICタグなど最新技術を使って管理し、食事はアテネ五輪で実績のあるアメリカの会社を中心に提供するとしている。しかし中国側がいみじくも指摘しているように、食品テロの可能性があるとすれば、どう対応できるのか。むしろ、テロリストの真の狙いはオリンピックで、ギョーザ事件はその予行演習であった可能性さえあり得る。中国側の狙いは、ギョーザ事件を水掛け論にして、“あいまい化”をはかり、国際社会の眼をそらそうというところにあるようだ。
このような危険を内包したままオリンピックを開催することは、IOC本来の役割として看過すべきではないのではないのか。IOCは調査団を日中両国に派遣し、早期に調査を実施すべきである。その際(1)日中双方に科学捜査結果の提出を求め、その内容を分析できる科学者を欧米など第三国から同行させる、(2)オリンピックに向けた食品テロの可能性について、安全性が担保されているかどうかを、専門捜査官が聴取する、(3)選手団に提供される予定の食材すべてについて、その残留農薬を分析する、ことなどが必要である。JOCも東京オリンピック誘致があるため「中国を敵に回したくない」という思いがあるようだが、ことはオリンピックの成否に関わる重要問題である。言うべきことは言う姿勢が何よりも必要だ。
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