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2008-03-10 00:00
18歳成人年齢の可否
大藏雄之助
評論家
国民投票法が投票者の年齢を原則18歳としたために、それに見合うように成人年齢を定める法令も改正すべきかどうか、が議論されることになった。欧米先進諸国は、かつては多くが21歳を成年としていたが、現在は18歳が圧倒的多数である。
私の記憶が間違ってなければ、最初に18歳に繰り上げたのは、ソ連を初めとする共産主義諸国であった。これは多分徴兵年齢と関係していたと思う。それに続いて西ヨーロッパの社会主義政権が18歳成人を採用した。これも若年層の方が革新勢力に好意的だろうし、それに取りいろうという思惑が先行したに違いない。もちろん青年の側にも、高校を卒業して、大学に進学したり、就職したりすると親元を離れる、という慣行が成立していた。
日本でも生活環境が整っていること、栄養が行き届いていること、などから身体的には18歳は十分大人である。一方で、就学期間はどんどん延びており、満20歳でも大半が大学や専門学校に在籍中であり、それも親がかりの状態である。この点が、ヨーロッパやアメリカと異なる。
この問題を考える指標として分度器を使ってみたい。左端を0歳とし、右端を平均余命とする。現行の法制度が整備される以前は、平均余命は50歳と言われていたが、それは乳幼児期の死亡率が高かったためで、それを除けば大体60歳ぐらいまでは生きていた。するとその直線の中央から垂直に線を立てれば、そこが30歳で、働き盛りということになる。その中間の左45度は15歳で、江戸時代の元服年齢、右45度の45歳は、早くも隠居の時期だった。今、平均余命が80歳近辺であるから、それに基づけば中央は40歳で、まさに社会の中核である。往年の元服年齢に相当する箇所は、20歳である。隠居年齢に重なるのが60歳で、ちょうど定年に当たる。
18歳成年を導入しなければならないとすれば、高齢化社会の老人勢力の増大を抑制する目的しかあるまい。
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