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2008-03-18 00:00
朝日・読売が米軍事力の必要性で意見一致か?
杉浦正章
政治評論家
朝日と読売がイラク戦争5年目の評価をめぐって社説で激突している。これだけならニュース性に乏しいが、驚いたことに、北朝鮮の核問題を抱える日本にとって米国の軍事プレゼンスの衰退が好ましくないという点では完全に一致している。読売は当然として、朝日が「米国の消耗が心配」とは、猫がワンと鳴いたほど面白い。
最初に口火を切ったのは読売だ。3月16日の社説で「イラク戦争を大義なき戦争とする批判がある。だが、開戦に至るまでの長い前段を忘れては、問題の本質を見誤る」と強調、「当時の状況では、米英が武力行使に踏み切り、日本がそれを支持したのは、やむを得ない選択だったと言える」と言い切った。おそらく朝日が社説を書くだろうと予想して先制攻撃をしたのだろう。勢い余って「開戦後、イラクは化学兵器を使うな、といった社説を掲げた有力紙もあった」と暗に朝日も大量破壊兵器はあるとの判断だった事を指摘した。確かに朝日は2003年3月19日付の社説で「大量破壊兵器の問題の根源はフセイン氏にある。彼への支持は国際社会にはない」とも言い切っている。これは当時大量破壊兵器の存在が疑われていなかったことを物語っている。
朝日は今日18日の社説で「この歴史的な大失敗をまだ正当化しようとする人々がいる」と冒頭から切り返して「戦争を支持した日本にもその責任の一端があるはずだ」と断定した。 朝日と読売の論調には相容れない対立がみられる。ところがイラク戦争の長期化によって米国の衰退を懸念しているところでは奇妙な一致を見せている。読売は「米国の力の低下が心配だ」とする理由について「米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない。米国の軍事力を背景にした圧力が、北朝鮮に核廃棄の決断を迫る重要なテコとなる。米国の力が弱まれば、北朝鮮は核廃棄に動くわけがない」と北の核対策の見地からの懸念を述べている。
これに対して朝日も中見出しに「米国の消耗が心配だ」と取ったうえで、「心配なのは、イラクの収拾が長引くほどに米国自身が消耗していくことだ。軍事力だけではない。経済力や外交力、ソフトパワーを含めて、世界を引っ張る米国の指導力が失われていく。北朝鮮の核問題を抱える日本にとっても、唯一の同盟国である米国の衰えは好ましくない」と軍事力を含めた米国のプレゼンスの衰退を懸念した。朝日、読売の論調が北の核の脅威に対する米国の軍事力の必要で完全に一致したことになる。読売の主張はまさに持論だが、朝日は社説でも記事でも基地問題や、米軍事力配備の問題、米国の核抑止力の問題などで、ことごとく米国の軍事プレゼンスに批判的な論調を貫いてきたはずだと思ってきたが、これは私の錯覚だったのか? 「唯一の同盟国である米国」という表現にもびっくりした。びっくりする方が遅れているのか。
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