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2008-03-20 00:00
中国はチベット武力鎮圧によるイメージ悪化を避けよ
伊東道夫
会社員・経済学博士
3月10日に中国のチベット自治区で僧侶500人ほどがデモを行ったが、それを鎮圧しようとした中国政府に対する抗議行動がエスカレートし、15日に暴動が起きた。これに対して中国政府の取った行動は、武力鎮圧だった。今年は北京オリンピックも開催される重要な時に、なぜ武力鎮圧という方法を取ったのであろうか。というより、中国政府には武力鎮圧しか手段がなかったように思える。暴動を起した側は、当然オリンピック開催を意識し、国際社会に訴える絶好のチャンスと考えていたであろう。オリンピック開催に対する中国政府の弱みを利用し、つまり武力鎮圧の手段は使ってこないであろうと、市民を巻き込んだ上での抗議運動を広げる事で、同情的効果を仰ぎ、人権を盾に有利に戦える、と判断した上での行動であったに違いない。
思惑とは裏腹に中国政府は、国際社会の批判を予測した上で、あえて武力鎮圧という手段を使った。中国政府としては、オリンピック開催への影響も十分に考慮した結果、早期解決の為に、早く沈静化し、自分達の行動を正当化し、悪いのは一部の反政府分子(ダライ・ラマ集団)であることを強くアピールしたかったのである。しかし、武力鎮圧後、外国人メディアを締め出し、中国当局の情報ばかりを流した事で、逆効果の結果となってしまった。多くのチベット族が居住する青海省、甘粛省にも抗議デモが波及し、海外でも抗議デモが始まっている。オリンピックに関しては、フランスをはじめ各国がボイコットをちらつかせ、対中批判を強めている。米国も鎮圧抑制を要請した。中国政府の立場は、かなり不利である。
私は、今回の武力鎮圧の状況を考えた時に、1989年に起こった天安門事件を思い出した。あの時は、中国の首都北京であったことと、デモが大規模であったこと、デモを行ったのが学生であった事などが、国際社会に対し大きな影響を与えたが、それよりも何よりも、武力鎮圧によって多くの一般市民が亡くなったことが、大きなインパクトであった。この平和な世の中にあって、人を殺してはいけない。その後も、中国政府は事件を煽ったとして多くの人たちを当局へ留置し、このことが人権問題となって国際社会の批判を受けることとなった。この人権問題は未だに批判の対象となっている。
今回のチベット暴動問題は、これから国際社会の厳しい批判にさらされ、適切な対応を余儀なくされる事と思うが、オリンピックを開催する国として、東アジアの大国として、日本の隣国・経済発展の協力者として、冷静な判断と対応を行ってほしいものである。オリンピックを成功させるためにも、是非もっと国際状況を理解するべきである。
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