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2008-03-24 00:00
注目される学習指導要領の改正
大藏雄之助
評論家
1月31日の教育再生会議の最終報告を受けて、学習指導要領が改正されることになった。学習指導要領は、占領下の1947年に最初に制定されて以来、ほぼ10年ごとに改正されてきており、前回が平成11年だったから、今年はその時期に該当している。しかし、前回の「ゆとり教育」導入に対して批判が強かったために、途中で微調整の一部改訂を行ったりしたため、教育の現場ではその対応にとまどいがあった。新しい学習指導要領では、授業時間数をふやし、それにともなって教科内容を充実させたことになっているが、これで実効が上がるかどうか、については疑問がある。
たとえば、PISAなどの国際的な学力調査で日本の順位が毎回下がっている、ことについての分析が十分でない。日本の子供に顕著な傾向は算数・数学の応用問題の成績が悪いこと、特に何も書かない無回答が多いことである。数学に関しては、日本の生徒・児童は外国で「マス・ジーニアス」(算術の天才)と言われてきた。それがダメになったのは、国語力の低下によって数学の記述問題を読み解くのに時間がかかったり、意味が理解できなかったりしているからである。そのためには当然国語の学習にもっと時間をあてなければならない。ヨーロッパの大学(ほとんどが国立)はもとより、アメリカでも大部分の大学は、理科系でも厳しく自国語の得点で足切りをしている。
わが文科省は、この授業時間数不足の中で小学校5・6年生に教科外の英語を必修とする、という愚かな決定をした。すでに総合学習の時間を使って英語の授業をしているのを幾つか参観したが、どれも大げさな身振りで「ワーオ」などと叫ぶもので、アメリカ人でも驚くだろう。一方で教員免許の10年ごとの更新と再教育を現役教員に義務づけながら、教員免許を持っていない社会人を大量に採用するという矛盾した方針を打ち出している。今こそ専門職としての教員養成を見直さなければならない。
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