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2008-04-15 00:00
福田首相はODA増額への決意を表明せよ
角田勝彦
団体役員・元大使
4月5日東京で開催された主要8か国(G8)開発相会合で、議長の高村外相は、冒頭、日本のODAが2007年に前年比3割減となったことを明らかにした上で「減少傾向を底打ちさせ、反転を目指す決意だ」と増額への強い意欲を表明した。これは、OECD開発援助委員会(DAC)が、4日発表した加盟22か国の2007年のODA実績で、日本のODAが前年比31.3%減の76億9100万ドルに止まったことに基づくものである。順位でもDAC推計で2010年時点で独仏にも抜かれ5位になると見られていたのが、早くも2007年時点で米独仏英に次ぐ5位になった。ODAのGNI比も前年の0.25%から0.17%に低下した。
日本は2005年アジア・アフリカ首脳会議でODAに関し「3年間にアフリカ向けを倍増」、G8グレンイーグルズ・サミットでは「5年間に100億ドル積み増し」の国際公約をしている。なお2005年2月の国連改革報告書は、国連安保理常任理事国入りを目指す国はODA実績をGNI比で0.7%とし、目標達成のスケデュールを明らかにするよう求めている。高村外相の表明の蔭から、5月のアフリカ開発会議や7月の北海道洞爺湖サミットを控えての、外務省の悲鳴が洩れ聞こえる。
私は、2007年5月28日の本欄への投稿「まずはとにかくカネを出せ:日本の国際貢献」で、「援助額の減少への批判を、ODAの戦略的運用により克服することは困難」として、ODA増額の必要性を力説した。本年2月6日には鍋嶋敬三氏の「福田首相はODA戦略検討に指導力を発揮すべし」との有益な投稿があった。財政再建が重要であることは論ずるまでもなく、国民の当面の関心は「景気」「物価」「食糧」にある(4月内閣府の世論調査)ようだが、世論の変化もある。4月8日付けの日本経済新聞は「ODA増額へ路線変更せよ」との注目すべき社説を掲載した。
2006年7月に決定した経済財政運営の基本方針「骨太の方針2006」では、ODA予算を2007年度から11年度までの5年間に毎年2~4%削減することが決められているが、福田首相は、最近、「(6月頃閣議決定する)『骨太の方針』を組む時に、反転攻勢の足場を築かないといけない」と述べ、2009年度以降の増額を検討する考えを示唆したようである。実利面でも円借款を利用し、資源確保を図るような動きもある。財源についても、道路特定財源の一般財源化の動きもある。外交は内政と違う。福田首相はねじれ国会に振り回されず、粛々と国の大事を行うことにより、失われつつある日本の国際的地位の回復に努めるべきである。
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