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2008-05-01 00:00
秋の解散総選挙への流れ、いよいよ鮮明に
杉浦正章
政治評論家
民主党の首相問責決議可決先送りのおかげで、政局の展望が可能となってきた。もつれるあやを無理に解きほぐすと、太筆書きの流れが見えてくる。それは、国会終盤に首相問責決議可決→国会空転のまま閉幕→政局は事実上衆院選挙戦に突入→秋の臨時国会で解散総選挙、の流れであろう。自民党内は、国会閉幕後、サミットを経て秋の臨時国会までの間に、「福田降ろし」が実現するかどうかが問題となる。これにからんで首相・福田康夫に内閣改造を断行できる余力が残っているかも焦点となる。民主党がガソリン税の暫定措置法再可決を問責決議可決のきっかけに選ばなかったのは、一にかかって間が持たないからである。一か月半の空転は、マスコミの矛先が民主党に向く。道路特定財源制度を10年間維持する特例法改正案の5月12日の衆院再可決も、問責の材料にするには弱い。
小沢一郎も、民放のコメンテーター程度の素人は「矛盾している」とだませても、一般財源化が閣議決定されては、事実上1年で消滅する問題を「矛盾」と言い続けることにも無理がある。参院で審議・修正に応じない民主党にも責任があるからだ。常識があれば、大げさには取り上げられまい。しかし特例法問題と併せて、後期高齢者医療制度廃止法案をぶつければ別だ。極めて強いインパクトが生じさせられるのである。従って民主党は、早期に後期高齢者医療制度廃止法案を参院で可決し、衆院に送付するだろう。衆院で国会審議を通じて、政府・与党に廃止を迫るだろう。そして福田と厚労相・舛添要一を窮地に追い詰めた上で、首相問責決議を提出する。
慌てて福田が30日に舛添を呼んで、後期高齢者医療制度見直しを指示したのは、いささか遅きに失するが、その民主党対策に他ならない。しかし、首相の指示は、制度を堅持したままの低所得層の保険料軽減であり、制度撤廃を求める民主党の主張とは水と油で折り合わない。もちろん「制度撤廃」は、民主党にとって、自民党から移行しつつある高齢者票を確保するためにも、不可欠の主張である。福田が修正で対抗しても、大衆へのアピール度からいって、恐らく歯が立たないだろう。こうして国会は、参院での問責決議可決で与野党激突の構図のまま空転して、6月15日か、多少の延長後6月末には、閉幕となる。
一院が首相を首相として認めない決議を採択したままの終幕であり、憲政史上異例の事態である。この構図は、秋に臨時国会を招集しても変わらない。憲政の常道から言えば、解散・総選挙で国民の信を問うところに落ち着かざるを得ないだろう。どんな間抜けな政治家でも、その本能は、臨時国会冒頭の解散をかぎ取り、通常国会終了後から3、4か月の長丁場の選挙戦に突入する。選挙区を候補が走り回れば、流れは止まらない。問題は、自民党内で総選挙への危機感から「福田降ろし」が台頭するかだが 、政治家は選挙区に貼りつけになり、自分の選挙で精一杯になる。その間隙(かんげき)をぬっての自民党内の「政局」がどう展開するかだが、これを今読むことができるのは、三流評論家だけだ。いつかまた解説する。
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