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2008-05-19 00:00
ODAは量より質で勝負せよ
大藏雄之助
評論家
わが国の政府開発援助(ODA)のドル換算金額は、かつて世界第1位だったが、昨年は第5位に落ちた。その増額復活に当たって、改革が取り上げられているという。ODAの順位については、各国の国内総生産(GDP)に対する比率の順位というのもあり、それほど絶対額を気にすることはないのではないだろうか。その前に中国に対する援助や、内容・方法等について検討しなければならないことが多々あると思う。
まず相手国に直接資金で渡している例が少数ながら存在する。これは使途の追跡が困難であり、現地政府の腐敗の原因となる恐れもあるから、直ちにやめるべきだろう。建設事業に関して現地の業者と契約することも問題が少なくない。一時期自国の会社に発注するのは資金の還流に当たるとして批判があったが、実際にはその方が支障が少なく、大多数の国がこの方式を採用しており、日本も日本の事業者と契約するのを本則とする方がよい。
しかし、ODAは工事終了後に不満が残る。例えばバングラディッシュの首都ダッカの郊外にダレスワン川がある。これはガンジス川の支流で川幅が広く、イギリスの統治時代から橋が架けられないでいた。ここに日本の援助で橋が架けられた。橋のたもとに日本のODAで建設されたことが明記されている。これ以上に膨大な資金で建設された北京の空港で、わが国のODAによる旨の表示が、誰も気がつかない場所にあるのとは大違いである。
だがこの橋は、維持運営管理費を捻出するために有料である。利用しているのは、政府関係や軍用の車両と、主として外資系の産業と流通のトラックである。バングラディッシュはアジアの最貧国であるから、一般の住民は渡橋料が払えないで、立派な橋梁を見上げながら、相変わらず渡し船で往来している。一工夫して、何らかの方法で徒歩と自転車の渡橋料金を割引してやれたら、日本への感謝と友好の気分はさらに増大するに違いない。ODAのソフト面での適用の拡大を望む。
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