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2008-06-02 00:00
国会運営の新たなルールの確立を期待する
角田勝彦
団体役員・元大使
今国会の会期末は6月15日に迫っている。政府が今国会に提出した80法案のうち、6月1日時点で成立したのは49本、最終的には最大で70本程度になる見込みといわれる。成立率は80%程度で、昨年の通常国会の92%を下回るが、これを少ないと見るか、ねじれ国会にしては多いと見るかの問題がある。ねじれ国会の打開策については、解散総選挙(自民の野党転落想定)のほか、「大連立」、「政界再編」、「国会運営の新たなルールの確立」などが打ち上げられた。大連立構想は、民主党小沢党首に傷を負わせてぽしゃった。
政界再編は、いろいろな動きはあるものの、参議院での野党優位は覆せないだろう。福田首相は、3分の2の多数を失うことが確実な解散総選挙を避ける方針である。自民党も、負ける選挙はしたくない。野党がこれから問責決議案を出すかどうかは不明だが、参議院で可決されても、与党は無視するだけだろう。そもそも、ねじれ国会を異常視するのはおかしい。戦後の日本では、むしろ自民党政権の長期独裁化こそ問題だった。政官財の癒着が進んだのである。統治機構論としても、議院内閣制の英国に比べ、「権力の分散」を重視する米国では、大統領支持政党と両議会多数派が異なる「分割政府」は珍しくない。意志決定は遅れるが、合意が慎重に形成され、長続きするなどの長所がある。
そこで、「国会運営の新たなルールの確立」が期待される。与党に野党案をなんでも丸呑みしろというのは無理だが、法案処理の実績を積み上げたい与党は、かなりの妥協に応じている。ガソリン税の暫定税率復活にも、一般財源化という妥協があった。国家公務員制度改革基本法案も妥協が成立し、今国家で成立しよう。そのため宇宙基本法、介護従事者処遇改善法や生物多様性基本法のように議員立法も活用されている。国民生活に関連した法案を中心に、与野党間の協議により、国政の停滞を避けるというルールが形成されつつある、と見るのは楽観的すぎるであろうか。もちろん、後期高齢者医療制度のような対決問題もある。
6月下旬に、福田内閣は、経済財政運営の基本的な方針を示す「骨太の方針2008」の発表を控えているが、そのなかで、社会事業費の自然増2200億円圧縮と、公共事業関係費の前年比1~3%削減が問題になっている。福田内閣の支持率は5月下旬多少上がった(日経調査で24%と前回調査から3ポイント上昇)が、政党支持率は民主党が36%で、自民党の31%を2回連続で上回っている。政局を目当てに、党利党略で、せっかく作られ出した「国会運営の新たなルール」が雲散霧消しないことを祈りたい。
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