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2008-06-10 00:00
官僚諸氏の無神経な言語感覚と愚民感
入山映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
後期高齢者とは、よくも言ってくれるものだと思っていたら、今度は紅葉マーク(後は散るばかり?)だそうだ。官僚諸氏の無神経な言語感覚には恐るべきものがある。もっとも、これは何も昨日今日始まったことではなくて、地名・地番の変更とやらで由緒ある地名が次々なくなって、やたら東銀座やら西銀座、北軽井沢やら南軽井沢があちこちに誕生した時も、これに類する。だが、そのときわれわれは、ごく一部を除いて抗議運動さえ起こさなかったし、挙げ句の果てが平成の市町村大合併で、素っ頓狂なネーミングさえ生まれている。所詮われわれは、おのれの言語感覚、そしておのれのレベル相応の役人を持っているのかもしれない。
ことは日本語だけではない。妙な英語もどきの始まりは、おそらく(当時の)国鉄がグリーン車などという馬鹿げた名前を導入したあたりから始まって、やれハローワークだ、最近ではシルバーだマニフェストだと、浮かれまくって止めようがない。一見別の事象に見えるこの二つだが、実は同根だというのが怖いところだ。要するに誰かがどこかで始めた日本語の破壊作用が、止めようもなく、止める意志もないままに定着する。流行語のたぐいはもともとそんなものだから、KYだろうがNIだろうが驚きはしない。しかし、こちらの方はかつは消え、かつは流れるのでなく、永く定着することになる。
日本語の乱れなるものは、歴史上何度も識者の嘆き悲しむところだったようだから、屋上奥を重ねる議論の愚を繰り返しているのかもしれないが、それとはいささか趣を異にするように思う。お役所用語が生硬で、無味乾燥なのは、昔からだから驚くにあたらないし、もっともらしい命名で現状に目をつぶるのは、占領軍ではなくて、駐留軍だったとき以来お馴染みだ。そうではなくて、心にもなく国民に媚びようとするジェスチュアから、ぽろりと垣間見える愚民観とでもいえばよいだろうか。それが気が利いたつもりのセンスの悪さと結びついている、とでもいえば近いか。
知らされないで、ただ依らしめられ、「後期」だ「紅葉」だと分類されている訳には行かない。おためごかしで職業斡旋のマネをするくらいなら、年金をしっかり払うべきだ。マニフェストだ、「せんたく」だと情報量不足のまま政治ごっこに振り回されるのには、そろそろ異議申し立てをしよう。
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