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2008-07-03 00:00
インパクトに欠ける橋本新党
杉浦正章
政治評論家
前高知県知事・橋本大二郎の新党結成を視野に入れた動きが政界に波紋、と言えば大げさになるが、さざ波を起こしている。政界再編でキャスティング・ボートを握るというのだ。しかし、政党になるためには法的に国会議員5名以上の所属が必要となるが、そのめどは立っていない。派手なパフォーマンスで事実上衆院選挙に向けての選挙運動を展開しているだけ、と受け取られても仕方がないだろう。
橋本新党の動きは、背後に新党さきがけの理論的指導者だった田中秀征の“仕掛け”があるとみられている。田中は国民の既成政党離れを吸収するには、小人数でも第3極が必要となるとして、橋本や元通産官僚で無所属の江田憲司に影響力を及ぼしているといわれる。橋本が“新党”の連携相手に江田を挙げたのはその流れがあるとみられる。江田は橋本の兄である故橋本龍太郎の首相秘書官を務めた関係もある。
橋本は「まずは1人から始めて、わたしの考え方を広く訴え、賛同者が集まってくれれば良い」と述べているが、なんとも頼りない新党結成への第一声である。新党を作る以上、まず国会議員を集める姿勢が必要だ。民主党代表・小沢一郎も「橋本新党」結成については「どういう政治的スタンスで中央政治に臨もうとしているのか、分からない限り論評のしようがない」と素っ気ない。「改革派知事」として知られた橋本は衆院選出馬表明後、自民党の前官房長官・与謝野馨や民主党幹事長の鳩山由紀夫らと相次いで会談するなど、動きは活発だ。しかし無所属の平沼赳夫元経済産業相による新党の動きとも似ていて、大きな波が生ずる気配は感じられない。
次期衆院選挙の後に政界再編が起きる可能性はかなりあるとみなければならないが、その際の主役は、やはり小沢や小泉純一郎らカリスマ性のある実力派政治家が主導権を握っていく可能性が強い。言われているように「橋本新党」が政界再編の起爆剤となるには、いささか役不足の感じがする。ただ同じ知事出身の首相・細川護煕のような“幸運”が、万に一つの確率で降ってわかないとも限らない。その意味で政界は寸前暗黒である。
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