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2008-07-03 00:00
北朝鮮問題を中国に丸投げした米国
北田徹矢
公務員
米国が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除するとの発表が、ホワイトハウスで6月26日朝あった。北朝鮮に対する対敵国通商法の適用も解除されるという。この報道に接して、米国内が対北朝鮮政策で割れている、特に国務省と大統領府との間に亀裂がある、との報道を思いだした。チェニー副大統領が国内の対北朝鮮対話路線を潰しにかかっているとの情報を、ヒル国務次官補が北朝鮮側に流していたようだ、との報道である(6月27日付け『北海道新聞』記事「対話派:情報戦制す」)。
いわば米国内の政局情報が外国に流れていた、との報道である。国務省の対話派は、なんとしても生き残りをかけ、テロ指定を解除する必要があったようだ。また毀誉褒貶があるとはいえ、その国務省側からの情報をきちんと見極め、見事に対応できた北朝鮮の対米政策は、驚嘆に値するものといえる。巷でいわれるような無能な指導者層では決してないのではないか。
これが日本にどう影響するのか。それについて考えると、日本は今後、米国、北朝鮮そして中国とどうかかわり合うのがよいか、ということになる。ポイントは3つある。一つめは、米国はテロ指定解除をした後の展開について深い読みがあるのかどうか、二つめは、北朝鮮は今後米国に対して正面から向かいあっていくのか、それとも表面的な技巧を弄してゆくのかどうか。三つめは、核査察を実質的に任された形になる中国がどう対応するのか、という3点である。
こう見てくると、アジアの地域安全保障問題をアメリカが中国に丸投げしたのではないかという疑念は消えない。前記のとおりの米国内の事情があるため、米国はこれ以上深く北朝鮮にコミットすることは避けようとするのではないか。結論として、今後東アジアの核削減・核無能力化交渉の成否のカギを握るのは、中国ということになりそうだ。日本としては、中国の対北朝鮮政策を注視してゆくことが重要だ。米国に対しては、その対北朝鮮政策の翻意を促しても無駄であり、むしろ今後は日本としても、独自に中国や北朝鮮との関係を見ていくことが必要になると思う。
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