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2008-07-21 00:00
(連載)日米MD協力に集団的自衛権行使をからめるな(1)
角田勝彦
団体役員・元大使
安倍首相時代に設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長)が、ようやく6月24日に福田首相に報告書を提出したが、そのままお蔵入りになったようである。報告書は、集団的自衛権行使の第2類型として「米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」の場合を挙げて、「弾道ミサイルを打ち落さないことは、日米同盟を根幹から揺るがす。絶対に避けるべきだ」との理由で、「集団的自衛権行使に頼らざるを得ない」との結論を引き出している。
この点については、最近のミサイル防衛(MD)に関する日米協力の実態からしても、報告書のような憲法解釈を採るのではなく、「日本領空を侵犯する(可能性がある)ミサイルは、集団的自衛権によらずとも迎撃できる」との解釈で統一することが必要と思われる。私は、昨年12月24日付の本欄への投稿「改めてミサイル防衛(MD)を考える」(494号)で「米本土に向かうミサイルを迎撃するのは、集団的自衛権の行使になるとの理論がある。『だから、許されない』というのと、『だから、やれるよう憲法改正または解釈変更せよ』というのと、2つの対応が導かれる」と指摘した。
報告書は、第2類型に関し従来の集団的自衛権の行使に関する政府解釈の変更を求めていると解釈される。これに対し、福田首相は「(憲法解釈を)変えるなんて話したことはない」と語ったうえで、懇談会を閉じる考えを明らかにした。こうなると、懇談会報告は自縄自縛にならないだろうか。進展しつつある日米MD協力の支障にならないだろうか。
「座して死を待つ」のが憲法の趣旨ではないというのは、前から分かり切っている。発射されたミサイルに行く先が明示されているわけではあるまい。危ないミサイルなら、たたき落とすのに集団的自衛権を持ち出す必要はないだろう。慣性飛行段階(ミッドコース・フェイズ)の軌道からして、「海自イージス艦搭載のSM3では、ICBM迎撃は技術的に無理である」との指摘があるが、ブースト段階での迎撃の協力もあろう。現実的対処が望まれるのである。実は、その基底には、北朝鮮への不信感が薄れないことがある。拉致問題はさておき、核問題についてもそうである。ブッシュ米大統領が議会に通告した北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、一応8月11日に発効する予定になっているが、どうなるかの疑問すら生まれている。(つづく)
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