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2008-07-31 00:00
いったい日本は、この首相で大丈夫なのか
杉浦正章
政治評論家
アイデアが先行して首相のリーダーシップに欠けると、我が国の政策はこうなるという典型が「5つの安心プラン」であろう。首相・福田康夫としては政権浮揚と総選挙をにらんで乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に出たつもりだろうが、結果は官僚の作文の網羅。まるで「出ると、負け」を証明してしまったようなものだ。これでは政治的にはやらない方が良かったということになる。そもそもの発端は、高齢者医療制度の不備が国民の不信感を増幅、6月に福田康夫首相が発案して、厚労省など関係各省の尻をたたいてつくったのが、このプランである。しかし、政府筋がいみじくも「一か月ではたいしたものは作れない」と自認しているように、内容が150項目と複雑多岐にわたって、総花的で、焦点が定まらないものになった。
たしかに「医師不足対策」だけは明確に方向をだしていて、これは敏速に実行に移すべきものだろう。しかし、そのほかの対策はほとんどが、どこかで見たような対策を網羅している。公表ずみの政府文書の内容が柱になっている。焦点の厚労省改革にしても、「有識者による懇談会で行政全般を総点検し、信頼回復を図る」と問題を“先延ばし”しただけ。加えて厚労省の主導で作る懇談会では、「改革」にはほど遠いものが出来るに違いない。日経新聞が社説で「まな板の上のコイが包丁を握るの図」と形容したが、まさに言い得て妙である。どうして「5つの安心プラン」が、こうなってしまったのかだが、まず第一に首相の問題提起のピントが外れている。国民の最大の不安を掌握し切れていないで、スタートを切ったことだ。国民の不安は後期高齢者医療制度であり、消えた年金問題である。政権浮揚を狙うなら、まずこれに正面から取り組まなければならないのに、何ら言及もしていない。
次に、財源のめどがないまま政策を作れと言っても、難しい。消費税の導入を首相が明言しないままの新政策作成は、無理があるのだ。しかし当面の措置なら、独立行政法人、民営化法人などに、準備金や、株式売却益といった「埋蔵金」が数十兆円の単位で眠っているというのが定説であり、首相がこれを掘り出して使うと決断すれば、様変わりの「安心プラン」ができたはずである。要するに、政治が官僚のリーダーシップを取るなら、財源まで目配りして手を打った上で、組織を動かすべきであろう。福田は政治家としての“ひらめき”に欠けるのである。福田政権の最大の欠陥は、首相をもり立てるアドバイザーが側近にいないことだ。「安心プラン」の“不発”が、それを物語っている。国民の「5つの不安」を、首相にお教えしよう。まず後期高齢者医療制度であり、消えた年金問題、物価高騰、治安の悪化であり、最後の1つが「いったい日本は、この首相で大丈夫なのか」である。
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