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2008-08-04 00:00
この困難な時期に政局をもてあそぶな
角田勝彦
団体役員・元大使
あるテレビ番組で町村官房長官も嘆いていたが、8月1日の福田内閣改造に関する緊急全国世論調査は、電話方式とはいえ、次のように各紙に差がありすぎて、世論調査そのものの信憑性に疑問を投げかけるものであった(今回調査は、日経のみ8月4日、他は3日実施。前回調査は、日経のみ6月、他は7月実施)。
読売:支持率41.3%、不支持率47.0%(支持率14.7%上昇、不支持率14.3%低下)
日経:支持率38%、不支持率49%(支持率12ポイント上昇、不支持率14ポイント低下)
共同:支持率31.5%、不支持率48.1%(支持率4.7ポイント上昇、不支持率5.4ポイント減)
毎日:支持率25%、不支持率52%(支持率3ポイント上昇、不支持率2ポイント低下)
朝日:支持率24%、不支持率55%(支持率変わらず、不支持率3%低下、いずれも対前回比)
実力者、とくに麻生幹事長の起用による政策実行力向上への期待感が政権への評価を押し上げたとの楽観的な見方もあるが、政党支持率には大きな傾向の変化がなく、この内閣改造で与党への逆風が和らいだとは言えないだろう。衆院比例区では民主党優位は動いていない。選挙をすれば、与党が3分の2の多数を失うこと確実である。早期解散総選挙を求める声は、年内を希望している公明党からを含めて、強い。中曽根元首相も、読売とのインタビューで「内閣が安定した、今後2週間か1ヶ月の間に解散した方がいい」と述べたそうだ。しかし、自民党内で賛成者は少ないだろう。新任閣僚にも失礼である。
中曽根氏は、衆院選後の自民・民主両党の大連立に期待している由だが、衆院選で(程度はともかくとして)勝利した後に、民主党が大連立に歩み寄るとは限らない。つまり総選挙は、政治の安定ではなく、混迷をもたらす可能性が、極めて高いのである。内閣に優先して取り組んでほしい課題(複数回答)は、読売調査では「物価対策」の88%が最も多く、「年金問題」82%、「高齢者医療」「地球温暖化対策」各77%が続いた。内向きになった国民の関心は薄いが、インド洋の補給支援継続問題も、緊急の課題である。
IMFも7月28日の金融安定化に関する報告で、世界金融危機の懸念が残るとの厳しい判断を示した。ドーハ・ラウンドの決裂から保護主義への懸念も出てきた。経済問題に限っても、マスコミ好みのおおざっぱな悪者探し中心の議論でなく、必要な財源の確保を中心に、緻密な対策を用意すべき時期である。私は、本政策掲示板2007年10月29日に掲載された「警鐘が鳴っている:世界経済の不安な動き」や本政策掲示板2008年1月8日に掲載された「総選挙を急ぐな」などで、空白の時期を作るのは避けるべしと説いてきた。福田改造内閣は、原油高騰に伴う物価の上昇や減速している景気の浮揚につなげるため、9月にも(補正予算を含め)網羅的経済対策を纏めるよう準備し始めている。せっかく与党のほとんどの有力者を糾合し、官僚機構も活用する姿勢を見せる内閣が発足したのである。暫くは全力を尽くして成果を出してもらおうではないか。
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