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2008-08-12 00:00
グルジア紛争で問われる国際社会のロシアへの対応
西村 洋治
団体職員
今朝の新聞報道によると、ロシア軍は紛争対象地域の南オセチアを越えてグルジア本土への攻撃を開始したという。「いよいよ(ロシア流のやり方が)始まったか」という感じで、私はこのニュースを受け取った。ロシアは、グルジアの南オセチア自治州の住民の大半に一方的にロシア国籍を与えておいて、今回のグルジアの南オセチア侵攻は「ロシア国民へのジェノサイドだ」と言っているという。その上で、停戦の条件としてグルジアのサーカシビリ政権の退場(ということは、ロシア傀儡政権の登場)を要求しているとも言われる。
これはまさにロシアがチェチェン民族に対してつけた言いがかりと同じではないか。それでも、チェチェン問題はロシアの国内問題と言えなくもなかったが、グルジアはれっきとした外国である。さらに言えば、ソ連時代のロシアが、そして帝政時代のロシアがコーカサス諸国や中央アジア諸国につぎつぎと突きつけた言いがかり(それはもっと露骨で一方的な言いがかりであったが)をも想起させる。当時は、コーカサスや中央アジアは文明世界の視野の外にあり、ロシアのやりたい放題に「待った」をかける意志も能力も国際社会にはなかった。しかし、今度はどうなのだろうか。
ロシアも、グルジアも、国連加盟国である。すべての国連加盟国は「その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも、慎まなければならない」との義務を負っている(国連憲章2条4項)。この国際社会の規律が守られなかったのが原因で、第二次世界大戦が戦われた。冷戦終焉後この規律を最初に破ったのは、イラクのクウェート侵攻であったが、国際社会はサダム・フセインのこの暴挙を許しはしなかった。ロシアは、自分の今やっていることの意味を分かっているのであろうか。国際社会全体(そして日本)は、ロシアのこの野蛮を看過したり、座視したりすれば、それが人類史の到達した文明にどのような破壊的な結果をもたらすかを熟慮すべきである。国際社会は、他人事としてではなく、わが身の問題として、このロシアの「犯罪」に対処しなければならない。
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