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2008-08-13 00:00
「将来の労働力不足」は大きな誤解
塚崎公義
久留米大学准教授
7月28日付け本欄への大蔵雄之助氏の投稿「年限を定めて外国人の入国就労を認めるべし」(694号)に異論がある。与党のプロジェクト・チームも外国人労働者短期就労制度の創設に取り組んでいるようだが、これは大問題である。そもそも「将来の労働力不足に備える」という目的自体が、大きな誤解に基づいていることを指摘したい。
まず、現状の正しい認識が重要である。企業が人手不足だと言っていることを根拠として、現状を人手不足であると考えてはならない。日本経済の現状が、貿易黒字と財政赤字という竹馬に乗った姿であることを明確に認識する必要がある。貿易黒字がゼロになるまで円高が進み、財政赤字が消えるまで増税と歳出削減に励んだら、どれだけ失業者が増えるか、想像してみれば、竹馬から降りた日本経済が大幅な労働力余剰であることが容易にわかるであろう。高度成長期が終了して以降、日本経済は基本的に労働力余剰(=失業)に悩んできた。日本人は勤勉に働いて節約するから、モノが余り、したがって労働力が余る。余ったモノを輸出し、それでも余った労働力を財政赤字で吸収してきたのが、日本経済なのである。
今後、団塊の世代が引退して労働力が減少し、パートや派遣などの労働条件が改善し、仕事を求める高齢者や女性が職を得て、貿易黒字が消滅し、財政赤字が消滅し、それでもなお労働力が不足する事態に陥った時に、はじめて外国人単純労働者を受け入れるか否かを議論すれば充分である。労働政策研究・研修機構によれば、女性や高齢者の雇用促進、男女間賃金格差の解消などを進めれば、2030年の労働力人口は約10%の減少に収まるという。この程度であれば、日本経済が竹馬から降り、ある程度の労働生産性向上を図れば充分に凌げる減少率ではなかろうか。
詳しくは、拙稿「外国人単純労働者の受入は不要(http://www.tsukasaki.net/)」をご参照ありたい。
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