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2008-08-14 00:00
「温室効果ガス排出規制が唯一の温暖化対策」でよいのか?
浅野 勇樹
大学院生
近年、地球温暖化の防止は人類喫緊の課題であるとされ、過日の洞爺湖サミットにおいてもその最大のテーマとされた。しかし、現在の人類のこの問題への取り組みは、あまりにも温室効果ガスの排出規制対策のみに依存し、視野狭窄症に陥っているのではないか。地球温暖化と温室効果ガスの因果関係には未解明の点が多い。IPCCは「様々な不確実性を考慮しても、なお人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は、9割を超える」と結論しているが、逆に言えば、IPCCでさえも、なお1割の不確実性を認めているということになる。この点の不確実性を十分に解明しなければ、われわれは地球温暖化の最適な対策を放棄し、温室効果ガスの排出規制以外の対策の道を閉ざすことになりかねない。
確かに二酸化炭素の排出量は、氷床コアにおける分析結果に照らしても、産業革命前の280ppmから近年の360ppmへと約30%上昇している。しかし、炭素は自然界を循環しており、森林や、海洋に吸収されている。問題なのは、そのメカニズムが不明であり、炭素循環量の正確な数値化さえもできていないことである。仮りに上記の循環過程における二酸化炭素の量が正確に予測できたとしても、最後にその数値を気候モデルに投入して、気候変動への影響を予測することはほとんど出来ていない。現在、過去の特徴、とりわけ最終氷期末の温暖化を解明することにより、現在の温暖化暴走の兆候をつかんで、気候モデルの正確性を高めようとしている。近年脚光を浴びているブロッカーのコンベア仮説は、アイスランド付近で蒸発し、冷却された高濃度の塩分を含む海水が沈み込み、大西洋の深海を流れ太平洋で上昇し、表層を今度は逆流してアイスランドに至る、このようなベルトコンベアがあると説く。このコンベアが動いているか否かで、温暖化か寒冷化かの影響が出ると考える仮説である。
「地球温暖化の原因は、温室効果ガスではない」と説くつもりは毛頭ないが、たとえば上記のコンベア仮説があり、そこでは二酸化炭素の役割はなんら証明されていないのである。そういうなかで、地球温暖化対策を温室効果ガスの排出削減に一本化し、その他の対策の可能性をまったく無視することが正当化されるのであろうか。天災の多いわが国、食料自給率の低いわが国にとって、地球温暖化問題は重要な問題である。それだけに、その最適な解決法をみつけることに、今こそわれわれは思い込みを捨てて、全力をあげて取り組むべきであると考える。
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