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2008-08-18 00:00
北朝鮮の核開発の欺瞞性
大藏雄之助
評論家
早ければ8月11日にもあるとされていたアメリカの北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除は、北朝鮮側の核開発に関する報告が十分でないために当面延期されたが、いずれにしても北朝鮮が核保有政策を放棄することはあるまい。あの国が抜本的に体制を変更しない限り、食糧不足を初めとする経済的な諸難題は解決しないから、周辺諸国を威嚇して援助をもぎ取る以外に生存の道はない。
そもそも米英仏ソ中の五大国を例外として認めるNPT(核拡散防止条約)が道義的に間違っている。この条約が無期限に発効することになる前、宮沢首相が「五大国が核廃絶に向かわないのであれば、日本は批准を保留したい」という趣旨の発言をしたが、多分アメリカの圧力があったのであろう、その後は抵抗しなかった。
強力な通常兵力を保持する五大国がその上に核兵力を備える必要はさらさらない。またアメリカやロシアの行動を見れば、核大国が他の小国以上に倫理的に優位にあるとも思えない。核兵器は、領土・人口・国力において劣る小国にとってこそ、有力な防衛兵器であり、抑止力になり得るだ。
イスラエルやインドやパキスタンは最初からこの矛盾を指摘して、NPTに調印しなかった。イスラエルが核兵器を大量に配置していることは公然の秘密であり、のちに核保有を宣言したインドとパキスタンも、一時的に制裁を受けたが、いまでは両国ともアメリカと協力関係にある。北朝鮮も既得権が認められることになるだろう。
ただ北朝鮮は冷戦終結後、ソ連のゴルバチョフ書記長の説得に応じてNPTに参加した。そして密かに核開発を行っていることが露見して、IAEA(国際原子力委員会)の査察を拒否するため、条約脱退を表明した。しかし、その後は条約遵守のポーズをとり、「核兵器開発の意志もなければ、能力もない」と言いつつ、核実験に成功した。この不誠実さの点において、北朝鮮はインド、パキスタンと異なることをアメリカは銘記すべきである。
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