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2008-08-18 00:00
秋の日中韓首脳会談の開催に期待する
角田勝彦
団体役員・元大使
北京オリンピックは、ほぼ順調に3分の2の日程を消化した。この分では主催国中国は、金メダル獲得競争でも米国に優って、「成功」を宣言できそうである。チベット問題などでぴりぴりしていた開幕前に比べ、対外関係でも、ゆとりが生じよう。中国製ギョーザ中毒事件に関し、中国政府が国内での中毒事件の発生を7月我が国に通知越し、8月17日高村外相と楊外相らの会談で捜査当局間の連携強化など早期解決に向けた協力を加速させることで一致したのも、その一環と見て良いだろう。
韓国との間は、我が国が中学校の新学習指導要領解説書に「竹島」問題を明記したことに、韓国が激烈な反発を行ったことから、冷却している。韓国側が、我が国がその(正当な)意見を主張することすら認めないというのは、国際関係の常識に反した行動で、それだけ自信があるのなら、我が国が主張するように、本件を国際司法裁判所に付託し、判断を委ねれば良いのだが、それはそれとして、抗議のため7月15日離日した韓国大使が8月5日帰任したことが示すように、韓国政府も沈静化を図る姿勢が見られる。李明博大統領も15日、「日本との関係は引き続き維持していかなければならない」と述べている。
世界経済不安に加え、南オセチア紛争を契機に欧米で「新しい冷戦」の開始すら言及されている現在、政治体制の相異を超えて、アジア、とくに東アジアでの平和と(経済面を含めての)安定の確保は、世界的に見ても重要である。日中韓FTAの早期締結を求める声も強いが、これは、アルザス・ロレーヌを巡る独仏の争いが欧州石炭鉄鋼共同体、ひいてはEUの創設により解決を見た歴史を想起しても、有意義であろう。もちろん、問題は多い。
しかし、日中韓3か国の首脳が、ASEANの場とは別に、独自の場で協議を行うことは、重要な第一歩となろう。この秋には、その初めての会合が予定されている。3か国の首脳が会うこと自体に意義がある。定期会合とすることが、第一の目的となろうが、福田首相は、紛争の平和的解決(武力の不行使)、法の尊重、基本的人権の擁護などの諸原則を共通の理念とする旨の合意(たとえば共同声明)の作成をも目指すべきであろう。
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