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2008-09-01 00:00
北朝鮮の「核無能力化」中断声明の意味すること
大藏雄之助
評論家
北朝鮮の「核無能力化」中断の声明が大きく報じられたが、それほど驚くべき事件であろうか。これでアメリカを揺すぶってテロ支援国指定解除をもぎ取ろうという、いつもの作戦かもしれないが、その後も北朝鮮が絶対に核兵器を放棄しないことは、前回この欄(8月18日掲載第710号)で述べたとおりである。最初の湾岸戦争終結後、アメリカはフセイン大統領の権威が失墜して妥協的になることを期待していたが、その思惑が外れたために、1990年代後半はイラクの大量破壊兵器の検証をめぐって国連安保理事会で次々に決議が採択されていた。その最中の1998年8月にテポドンの試射があって、にわかに緊張が高まり、クリントン政権は寧辺の核施設に対する先制攻撃も議論したという。
緊急度でいえば、核保有が現実化している北朝鮮の方が、イラクよりも高かった。だが、(1)二正面作戦をとりえないために、中東に展開している地上兵力を極東に移動させなければならない、(2)イラクに関しては、国連安保理のお墨付きを得ているが、北朝鮮については新たに多数の国を説得しなければならない、(3)イラクは孤立状態にあるが、北朝鮮制裁では中国とロシアが強硬に反対するばかりか、韓国も基地提供に賛成しないし、日本の協力も危うい、ということでずるずると既成事実を承認し、ついには国務長官を平壌に派遣するに至った。そしてアメリカは二国間会談には応じないはずだったのに、今や6か国協議自体が米朝の事前調整に従うまでになっている。
寧辺の老朽化した施設以外に秘密の核工場が存在することは、アメリカも偵察衛星によって把握しているが、表向きの核凍結で妥協しようとしているのは、一にかかって日本の核武装を阻止するためだと言われている。「日本が非核三原則などと能天気なことを言っていられるのは、アメリカの核の傘に守られているからだ」というのが諸外国の常識である。しかしながら、最近のブッシュ政権の動きを見ると、日本も雨具の用意が必要ではないか。
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