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2008-09-08 00:00
自民党総裁選の大勢は麻生か
杉浦正章
政治評論家
自民党総裁選挙は、47都道府県すべてで予備選挙が行われることになった。528票のうち地方票は141票だが、総裁選挙のムード作りに決定的な要因となる公算が強い。今回は、とりわけ衆院選挙の顔作りとしての期待が大きく、地方を制することが 総裁選挙を制する流れとなってきている。総裁選挙の歴史をみると、地方選挙が決定的な影響を与えたケースは2回ある。1978年の福田赳夫・大平正芳対決と、2001年の小泉純一郎・橋本龍太郎対決だ。福田・大平のケースは、福田が「福田再選は天の声」と大見得を切って臨んだが、田中角栄という伏兵がひっくり返した。田中は夜中の午前3時に起きると、地方党員を束ねる実力者に片っ端から電話する作戦に出て、大平支持ムードを盛り上げた。
その結果が予備選挙で大平748点、福田638点と大平の勝利に導いた。福田は「天の声にも変な声がある」という“名セリフ“を残して本選挙を辞退した。森喜朗退陣の後を受けた小泉・橋本のケースは、やはり本選挙に先立つ予備選挙で小泉298, 橋本155、 麻生太郎 31で小泉が圧勝。小泉劣勢を伝えられた国会議員票は、本選挙で雪崩を打って小泉に回った。今回は新聞・通信社の各県連幹部に対する事前アンケート調査でも、麻生支持の圧倒的な風潮が生じている。読売新聞の調査では、回答22人中20人が麻生、福井県が石原伸晃、鳥取県が石破茂。与謝野馨、小池百合子は支持なし。毎日新聞が回答23人中、麻生21人、鳥取県が石破、福井県が石原か小池。時事通信の調査でも17県中、15県が麻生。調査はいずれも幹部に対する調査で、党員に対する調査ではないが、地方の雰囲気を知る事ができる。
自民党地方組織は、民主党の「総選挙優勢」をひしひしと感じており、投票行動に出る場合、第一に「総選挙の顔」になりうる候補を考える傾向にある。予備選挙結果は、事前に発表されないが、国会議員を通じて実施後直ちに伝わる事が予想され、マスコミが全国の結果をまとめるから、これが本選挙に与える影響は大きい。国会議員も、地元の動向を無視した投票行動に出ることは難しいからだ。従って、候補者乱立の結果、麻生が過半数を取れずに、決選投票になるという見通しがあるが、どうだろうか。選挙は魔物であり、何が起きるか分からないが、麻生が例えば地方票を固く見積もって7割、100票を取った場合、過半数には国会議員票387票中165票を取ればよいことになる。圧倒的な自主投票の流れの中で、国会議員票の4割以上を麻生が獲得できないだろうか。おそらく、地方の動向が作用して、過半数割れは避けられるだろう。例え過半数を割っても、麻生が与謝野か石破と組めば、決戦投票は麻生となる。与謝野、石破はともに麻生と怨念の戦いを演じているわけではない。
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