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2008-09-13 00:00
国家公務員キャリア制度の廃止は論外
宮脇磊介
初代内閣広報官・宮脇磊介事務所代表
このところ官僚の地位低下が言われる。その原因は官僚自身の腐敗堕落による。官僚腐敗の根源はただ1つ。志を失ったことに尽きる。志とは、国家国民のために尽くすという意思と誇りである。公(おおやけ)のために、などという曖昧な概念で説明されるべきものではない。天皇の官吏から国民の公僕へと主は変っても、国家・国民に奉仕する役割りは不変である。そうした志を失ったのである。その結果、国益よりも省益・局益をあからさまに優先させて恥としないようになった。また、大蔵官僚はじめ利権官僚の驕りが倫理感覚を失わせた。ノーパン・シャブシャブなど豪華な饗応に耽ったり、居酒屋タクシーからビールや現金までを受け入れるみじめな人間になり下がった。
明らかに饗応買収の汚職事件である。公務員倫理を規制する法律まで制定されても、なおとめどもなく職を穢す状況が続いている。官僚道はどこに行ったのであろうか。かつて武家社会にあって、死をもって罪を贖(あがなう)場合、一般に町人は斬首、磔(はりつけ)であったが、武士は自ら責任をとる資格がありとされ、切腹が許された。しかし、武士であっても、経済的な利害絡みの場合は切腹は許されず、斬首とされた。さしずめ、今日の各省腐敗堕落官僚、利権癒着官僚は、斬首の途へまっしぐらに行ってもらわねばなるまい。
恐ろしいことは、現在進行中の公務員制度改革にたずさわる政治家や有識者がこの理(ことわり)を理解できないでいることだ。なぜ分からないのか。それは、改革を進めるべき関係者自身が志を持っていないからにほかならない。このことは、志そのものを論議する意思と能力を欠いた有識者会議「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」での審議経過と決定した内容から明瞭である。
この有識者会議で結論づけられ、国会で可決された国家公務員制度改革基本法の骨子に、キャリア制度の廃止がある。論外である。いまの日本は、人物評価能力欠落社会である。人間の人格、ひととなりを正しく評価しようとしない。評価できない。自分のアタマで物事を考えることができない。横目、横並びの人脈依存・無能人間が、銀行の頭取や大企業の社長になったり、テレビによく出てくる人が偉い人だと思ったりしている。意思の強さや努力の尊さを無視する格差論がはびこっている。知能レベルが顕著に低下して、分別が育っていないし、尊ばれてもいないからだ。他人の能力を評価する能力を欠く現下の日本社会で、能力主義人事が成立つわけはないのである。
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