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2008-09-16 00:00
スポーツ選手にもコミュニケーション能力は必要だ
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
米国の女子プロ・ゴルフ協会(LPGA)が来シーズンから外国人選手に対し英会話テストを実施すると発表した。「英語を喋れない者は、参加資格がない」というきびしいお達しだが、考えてみれば当然である。優勝してトロフィーを抱えたまま、インタビューに母国語でしか答えられないようでは、いくら美人で、スタイルがよくても、ギャラリーも、テレビ視聴者もシラける。LPGAは、スポンサー筋からの猛烈な批判を受けて、その後この決定を撤回したというが、LPGAの発表の背景には、昨今の外国人選手、とくに韓国人選手の急増があるようだ。LPGAツアー登録の外国籍選手は26カ国から121人に達し、このうち3分の1以上の45人が韓国人だという。
今シーズン24試合のうち19試合で外国人選手が優勝、なかでもアジア系が6勝しているという。彼女らがみな英語を喋れないのかどうかは、つまびらかでないが、英語ペラペラの日本の「アイちゃん」こと宮里藍などは、例外なのだろう。ゴルフの本場は米英だ。相手の土俵で相撲を取る以上、技だけ磨きがかかっていても、その国の言葉が喋れないのでは、ロボットと同じだ(最近のロボットは英語を喋る。)逆も真なりだ。相撲界で朝青龍や白鵬がモンゴル語、琴欧州がブルガリア語しか喋れなかったら、力士の資格はないとされるだろう。プロ野球でも来日して2、3年たてば、外国人選手はみな片言の日本語でインタビューに答えている。
イチローは米大リーグで大活躍、今年は日米通算3000本安打を達成したが、花束を贈られても、帽子をとって会釈するだけで、渡米して8年になるイチローから、ついぞ英語のスピーチを聞いたことがないのは残念だ。その点、桑田投手は念願の大リーグ・デビューで、短期間だが、流暢な英語をこなし、同僚選手や米人記者とやり合っていた。立派なものだ。北京五輪で、柔道や体操のルールが、欧米人主導で変更され、日本選手に不利に働く例が多いことが話題になった。しかしルールは、欧米の個人が恣意的に変えるものではなく、各競技の国際連盟で討議され、議決された上で決まる。日本人役員は、その場で大いに議論し、自国の選手に不利にならないよう立ち回らなければならない。それができないから、不利なルール改正がまかり通るのだ。
決め手になるのはコミュニケーション能力だ。選手OBがそのまま国内委員会や連盟の役員になるのが通例のようだが、今後は英米の大学院にでも留学して英語力を磨いておく必要がある。現役時代に大いに国際交流し、引退後は交渉能力を身につけることだ。これはスポーツ界に限らない。
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