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2008-10-06 00:00
民主党政権が成立すれば、こうなる
杉浦正章
政治評論家
自民党独自の世論調査で「惨敗」の数字が出た。帝国データバンクの調査でも次期衆院選での政権交代を「必要」と考える企業が48.2%に達した。産業界でも政権交代への期待が膨らんでいることが分かる。早期解散なら民主党政権ができる可能性が強まっているが、代表・小沢一郎の政権構想からは今ひとつどのような政権となるのかは、見通すことが困難だ。そこで民主党政権になった場合のイメージを独自にシュミレーションしてみた。
【内閣】まず、閣僚名簿発表時期だが、選挙後ではあるまい。おそらく解散日か、公示日に、組閣名簿を発表して、「小沢内閣」の“信を問う”形にするだろう。この方向で検討している。民間からの起用者については、比例名簿の上位に据えて議席を持たせた上で、入閣を目指すかもしれない。例えば元大蔵財務官・榊原英資や引退する元蔵相・藤井裕久を財務相に据える場合、比例のトップに据えておくという具合だ。副総理候補は菅直人だろう。官房長官は近ごろ小沢にピタリ呼吸を合わせている鳩山由紀夫が有力、焦点の厚労相は誰がみても長妻昭だろう。閣僚名簿は当然民主党単独政権を念頭に置いたものになろう。
【官僚統治】
自民党政権の政官癒着を批判して政権を取るのだから、いかに官僚を押さえ込むかだ。民主党最高幹部によると、既に各省の人事構想に手をつけており、問題発生源の財務、防衛、厚労の各省は幹部クラスが大幅入れ替えになることも予想される。役人が総入れ替えとなる米国の政権交代と同じような対応をする事が検討されている。局長クラスに民間からの起用もあり得るようだ。小沢は民主党議員100人を各省庁に配属させる予定だ。各省の副大臣と政務官に加え、「大臣補佐官」を新設する。首相官邸では衆参両院1人ずつの官房副長官を増員する。100人といえば従来の倍の人数が官僚の上に立つことになり、指揮命令系統に問題が生ずる事も懸念される。
【国民生活】
基本的には財源のめどが立たないままの“ばらまき公約”が実施に移されることになろう。子ども1人当たり月額2万6千円の「子ども手当」を中学校卒業まで支給。公立高校の授業料を無料化し、私立高校、大学なども学費負担を軽減する。2カ月以下の派遣労働は禁止。最低賃金の全国平均を時給千円に引き上げていく。農業の戸別所得補償制度を創設する。林業と漁業も独自の所得補償制度を検討する。ガソリン税などの暫定税率を廃止し、2・6兆円の減税を実施する。後期高齢者医療制度は廃止する。これらの政策実行に必要な20兆円は、国の総予算の1割に相当し、ひねり出すことは不可能に近いとみられている。まさに民主党のアキレスけんだ。国民は当初は歓迎するだろうが、半年もすればその先に見える消費税導入を予感するだろうし、市場はもっと敏感に反応して、政権発足と連動して株価は大幅な下げとなることも予想される。
【外交防衛】
日米同盟の維持・発展を小沢は強調するが、給油法案を憲法違反とする方針は変えていない。対米関係は、小沢が昨年給油継続の依頼に訪れた米大使・J・トーマス・シーファーを激怒させたままになっており、給油中止と日米同盟維持は矛盾する。小沢は「日本の安全保障は日米同盟を基軸としつつも、最終的には国連の平和維持活動によって担保される」と述べているが、国連は日本の安全保障など担保する能力はない。いざというときに安保理開催を待っていたら、国は滅びる。相変わらずの国連至上主義に拘泥する外交・安保路線は、国内論議を揺れに揺らすだろう。もっとも村山富市の社会党政権が憶面もなく日米安保是認に代わったように、外交・安保路線は“ひょう変”する可能性もある。
【小沢の適性】
首相の適性の重要なものに、いかに自分をメディアに発信させるかがある。一番下手だったのが森喜朗で、手なずけなければならない首相番記者を怒らせて、結局短命に終わった。小沢はマスコミへの姿勢で森に酷似している。記者会見ですぐにいら立ち、余計なことを口走る。いら立ちは敏感に記者に伝わり、反感を買い、これが増幅する。小心なのかもしれない。「強権的」「独善的」と言われてきた従来の政治手法も、小心の裏返しだろう。心臓病の持病が性質を短気にさせているのかもしれない。マスコミとの不調和が政権の致命傷になり得る。それと国会の予算委を体力的にどう乗り切るのだろうか。国民的人気もいまいちで、まず首相には適さない候補だろうが、政権を取っても本当に首相に就任する気なのかどうかの疑問さえつきまとう。
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