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2008-10-16 00:00
ドルに代わる基軸通貨はあるか
四条 秀雄
不動産業
基軸通貨の果たしている本質的な役割は何かと考えると、それは覇権国によって国際的に展開された民間銀行からなる決済システムだと言えます。他方で、覇権国を、資源の動員に関して支配的な力を有する国と定義すれば、基軸通貨は購買力の潜在的な保証を得て、決済機能を担保しているともいえます。それは同時に、決済に備えて残高を維持するのに必要な安定した大きな資産市場を持っているということでもあります。
今回の金融危機で、基軸通貨ドルの決済機能が不全状態に追い込まれ、これからどうなるのだろうという疑念が、世界中で起きています。また、イラク戦争で米国の覇権に傷がつき、産油国のドル離れが囁かれ、ドルの購買力に関しても疑念が持たれています。さらに、今回の危機で資産市場も痛みました。つまり、基軸通貨の要件のほとんどが傷ついているということです。しかし、ではドルに代わって基軸通貨としての役割を果たせる通貨が他にあるでしょうか?
国際的に展開する民間銀行からなる決済網は、米国系と欧州系しかないでしょう。日系は、アジアにおいてすら存在感がありません。中国系が国際的に展開するのは、まだまだ先でしょう。覇権国としては、地政学的な要衝を押さえ、軍事的にも圧倒的な米国以外に、候補国はいません。購買力は、ユーロ、円、人民元は堅そうです。大きな資産市場は、米国・欧州・日本程度にしかないでしょう。
このように考えると、基軸通貨のゆくえは、ユーロの勢力が増しそうに見えますが、決定的ではありません。また、円は、アジア圏での銀行網の展開や国内資産市場の整備が進めば、一定の決済通貨としての役割は果たせそうですが、あくまでも「一定の」役割です。人民元の登場は、20年以上先になるでしょう。世界は、まだまだ流動的な状態のなかで推移しながら、不安定なドルの動きに依存せざるを得ないようです。
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