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2008-11-03 00:00
自らテロ支援国家となりかねない米国の自己矛盾
大藏 雄之助
評論家
名だたるいじめっ子がいる。久しく仲間はずれにされていたが、「これからはおとなしくするし、自分が謝るようないじめをしたら、処分されてもかまわない」と約束した。先生は大喜びして、早速優等生の賞状を渡した。その話を聞いて、みんな「それはおかしいのではないか」と首をかしげた。いじめをやめて表彰されるというのも変だが、その場合でも学業優秀の賞というのはお門違いである。それに、「いじめをやめる」といっても、まだその証拠はないし、今後いじめをしても、「俺が謝らない以上いじめじゃない」と言い張れる。
アメリカの北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、これに似ている。北朝鮮が核無能力化を宣言しても、まだそれが実行されるかどうかはわからない。そもそも核兵器は平和に対する脅威ではあるが、他のならずもの国家に現物または製造技術を輸出しない限り、核爆弾の開発・保有自体はテロでもなければ、テロ支援でもない。
アメリカが北朝鮮を国内法に基づいてテロ支援国家に指定したのは、北朝鮮が1988年のソウル・オリンピックを妨害する目的で、その前年の11月に大韓航空機を爆破して、乗員・乗客全員115人を死亡させたからである。北朝鮮はいまだにこの責任を認めておらず、犯人だった金賢姫を韓国のスパイだったと逆非難している。
それ以前にも1983年に北朝鮮はラングーンで全斗煥韓国大統領の暗殺をはかっており、さらにそれに先立つ1977年ごろから横田めぐみさんら日本人の拉致を本格的に開始していた。それらが未解決であるばかりか、1970年の「よど号」ハイジャック事件の犯人4人を、今もなお平壌にかくまっており、その家族を使ってヨーロッパで日本人の拉致・誘拐をさせているのである。それ以外に偽ドル紙幣の行使や麻薬の密売も続けている。にもかかわらず、事実上北朝鮮を援助するとすれば、アメリカはみずからテロ支援国家となってしまうだろう。
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