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2008-11-06 00:00
(連載)自治体破綻への警鐘(2)
森 浩晴
団体職員・大学講師
ここで私が永年住む岐阜市の過去10年間の財政を分析してみます。この10年で起債計として2058億円を借り入れています。片や元利償還計として2398億円を返済しています。この起債と元利償還の元本返済部分のバランスによって、借金(地方債残高)は増減していきます。結果的にこの10年間で岐阜市は449億円、地方債残高が増加しています。この地方債残高、つまり借金総額が地方公共団体財政に過大な圧力を加えることになるのです。余りに加重となった場合には、財政は破綻し、昨年の北海道夕張市の様に、財政再建(再生)団体として、地方自治の正に自治権を半ば喪失する形となってしまいます。民間企業で言えば、民事再生であり、破産管財人によって再興が企図される訳です。
しかし、自治体は私企業とは異なり、日々生活する住民が顧客であり、主体であります。財政破綻した場合、過大な迷惑を蒙るのは住民であり、その影響は看過することが出来ないものです。昨年6月に地方公共団体財政健全化法が施行されました。そして総務省は、先述の通り新たにこれまで住民や一般に分かりにくかった企業会計の収支を連結実質赤字比率として指標化しました。
しかしこれだけでは、一向に公債残高(借金)はみえてきません。同省は、更に借金総額を指標化した将来負担比率を呈示していますが、これも19年度決算(公表は2008年末)からの公表値となります。ただ言えるのは、公債残高が余りに加重である場合、当該団体の財政には少なからぬ悪影響を及ぼすことであります。その意味では、地方債残高は大変重要であり、これを如何に減らしていくかが、大切なのであります。県都として県の中央に位置する岐阜市ですら、この10年間地方債残高は激増しています。
岐阜県42市町村の総計で捉えると、(1)起債が1兆4131億円、(2)元利償還額が1兆3219億円、(3)地方債残高の10年間の増加額が4825億円、(4)元本が9306億円で、利息が3913億円、となります。起債事業は、単年度だけのものでは無く、財政学・厚生経済学上の受益者負担概念に鑑みて、次世代負担とすることが許されるとの考え方もあります。この考え方によって財政当局や公共事業主が起債を是認することは、あり得ましょう。しかし、利息だけで10年間に3900億円余の浄財が、公債引き受け者のもとへ行く訳であります。起債に頼る地方公共団体の運営に対して、危機感を禁じ得ないところです。(つづく)
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