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2006-04-12 00:00
「リベラル」よりは「現実主義」を
田久保忠衛
杏林大学客員教授
報告書や提言に限定したことではなく、日本の社会全般の風潮だが、国際政治のギリギリの本音に接近しない奇麗ごとの記述が多いと思う。米国の学者で現実の国際政治にかかわったキッシンジャー、ブレジンスキー、ハンチントン氏らは徹底した現実主義者だ。リベラル派の代表的論客はハーバード大学のナイ教授で、三年前に「ソフト・パワー」重視論を展開した。他国を力によって「強制」するよりは文化など国家の魅力で他国を「引きつける」ソフト・パワーであるべきだとの主張だ。建前論がもてはやされる日本ではソフト・パワー論が盛んだが、ナイ氏は強大な軍事力を持って単独行動を取りがちな米国への牽制をしたのであって、防衛体制の未熟な日本が「ソフト・パワー」を強調するのは奇妙ではないか。現実派の本格的議論を待望したい。
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