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2008-11-18 00:00
若者に実学教育を勧めたい
森 浩晴
団体職員・大学講師
実学教育の中心は専修学校である。しかしそのハードルは決して低くない。例えば、美容を業とする場合、1998(平成10)年以降、2年の専修学校教育に加え、その修了後に厚生(労働)省の国家試験に合格しなければならぬ法体系となっている。ここに若干の疑念を感じる。
と言うのは、1980年代末期から90年にかけての、いわゆるバブル経済期には、地に足がつかない虚業が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し、実学が軽んじられる傾向が多々見受けられたからである。額に汗する業や技術者がややもすれば軽視されたのである。バブル崩壊後に、金融機関を初めとして、マネーゲームに狂奔した虚業はことごとく経済的に撤退している。
ポスト・バブルの「失われた15年間」を生き抜いて来たのは、技術を中心とした実業であり、それを支えてきたのは、産業教育・実学なのである。例えば、理美容や調理業なしでは、我々の生活は考えられない。こうしたマイスターを養成する「地に足着いた教育」こそが求められている。
そしてバブル崩壊から相当の年月が経過した今、都市部と地方、富裕層とプア層などで格差が出来てきる。一部のIT長者は、ネット上の取引やユビキタスで、労せずして巨万の富を獲得している。しかし、これは本質的な業では無く、これをこれからの若者に範として示す訳にはいかない。これからの若者には、実学教育にも多くを期待したい。こんな時代だからこそ、これからも実学教育の有意性を訴えていきたい。
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