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2008-11-21 00:00
死刑廃止は世界の潮流
吉田 康彦
大阪経済法科大学客員教授
国連総会第3委員会は、11月21日、死刑執行停止を求める決議案を賛成105、反対48、棄権31で採択した。このあと総会本会議でそのまま採択され、死刑廃止が国際世論として加速される情勢となった。投票のあと日本政府代表は発言を求め、「国内世論は凶悪犯罪の加害者に対する死刑の適用を圧倒的に支持している」と釈明したが、決議案は「国内法で死刑廃止が難しい場合は、少なくとも執行を停止すべきである」と訴えている。
人権意識の高まりととともに、国連で死刑廃止が国際法として承認されたのは20年前にさかのぼる。推進役の西欧諸国は「どんな凶悪犯でも、国家が国民を殺す権利はない」と主張、反戦と死刑廃止が共通認識となっている。EU(欧州連合)は、いずれも終身刑が最高刑だ。トルコのEU加盟が認められない理由のひとつに、同国の死刑存続があることはあまり知られていない。
1989年の国連総会は「死刑廃止条約」(国際人権B規約第二選択議定書)を採択、91年に発効した。このとき先進国で反対投票をしたのは日本と米国だけだった。米国の反対理由は「死刑存廃は各州の権限に属する」というもので、全米50州の中でも死刑廃止の州は半数近い。アムネスティー・インターナショナルによると、1989年に100カ国存在した死刑執行国は、昨年には24カ国に減っており、代表的な死刑執行国は日本、中国、北朝鮮、イランなどアジアの一部とイスラム圏諸国にとどまっている。
ちなみに、21日夕刻のNHKニュースは「国連で死刑廃止が取り上げられたのは、昨年に続いて2度目」と伝えていたが、大間違いだ。同日の毎日新聞夕刊は「死刑については国際的合意がない」と日本政府代表が発言したと伝えているが、これも大間違いだ。こんな“誤報”がまかり通るのも、日本人が死刑執行を当然と思っているからであろう。法相在任中、次々に死刑執行を承認した鳩山邦夫・現総務相などは、それだけで「世界の常識」からすれば罷免に値する行為なのだ。
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