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2008-11-25 00:00
普遍的価値の追求と日本外交の留意すべきこと
角田 勝彦
団体役員・元大使
本条有樹氏の「あるアラブ人がオバマを支持する理由」と題する本欄への投稿(11月16ー17日付連載)を面白く拝見した。その後杉浦正章氏の「オバマ政権の対日政策を示唆したナイ発言」(11月19日付)及び鍋嶋敬三氏の「日本は『オバマの変革』に目覚めよ」(11月19日付)も拝読し、米国からの新たな息吹きに対応する日本外交のあり方について改めて考えた。
「オバマにアメリカ・モデルの平等、権利、機会均等の原則導入をアラブ諸国全部に押しつけて貰いたい」。本条有樹氏が引用したアラブ人ジャーナリスト・アトワン氏の発言である。この発言に見るように、ブッシュ政権の失敗にかかわらず、米国が掲げる普遍的価値(自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)への評価は高い。またオバマ選出は、米国の民主主義が健在であることを立証し、米国の政治的威信をかなり回復させた。なお金融危機後市場経済への批判があるが、独占禁止法が百年前から存在していることが示すように、規制は非市場経済化を意味するものではない。
アジア的人権とか中東型民主主義などというものはない。多文化主義と言うが、普遍的価値、とくに基本的人権を認めない文化は衰退しよう。宗教については、政教分離しかない。筆者は「『普遍的価値を重視する日本』を世界に認識させよ」と題する投稿(2007年6月11日)で、「日本がたとえば中国とは全く違う国であることを、世界の人々に認識させることがきわめて重要である」旨を述べたが、オバマ後も、これが重要である。
そこで次に問題になるのが、普遍主義である。素朴に「良いことだから世界に広めるべきだ」と考えやすいのが、米国外交の欠点である。ネオコンの失敗は明らかである。超大国といえども、その力がないことは立証された。治安維持を本質とするテロとの戦いでは、武力は不可欠であるが、国家間の関係では、別の方途もあろう。米国には、国連の外で「民主国家連盟」を結成しようという動きもある(チャールズ・A・クプチャン・ジョージタウン大学教授「民主国家連盟か、中ロを含む大国間協調か:ブッシュ後の世界秩序の試金石」〈『フォーリン・アフェアーズ』誌日本語版2008年11月号〉)。しかしオバマは、少なくともしばらくは協調路線を歩みそうである。日本外交も、日米同盟を堅持するにあたり、先走りしないよう留意すべきだろう。
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