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2008-11-27 00:00
社会保険庁の民営化は成立しえない
森 浩晴
団体職員・大学講師
社会保険庁の事務ミスで私議 今春大変な目に遭った。連日、メディアで報道されるように、一連の年金問題は完全なる「人災」であろう。ここへ来て、社会保険庁、公的年金そのものを民営化する論も出ているが、これはいかがなものであろうか。過去、三公社・五現業、高速道路、郵政、と民営化の途を辿っているだけに、精神論としては悪くは無い。
ここで、賦課方式たる我が国の公的年金制度を概観してみると、(1)強制加入(未納者は本来、法律違反)、(2)拠出した額に一定の国庫補助を加えて、給付、である。「今」の賦課方式は、現役世代が高齢者世代を支える図式であり、積立方式とは大きく異なる。年金は相互扶助の概念が必須であるが、これを民営化した場合、(1)任意加入(将来に対してリスク・アヴァーターな方だけ加入)、(2)運営会社が全てを保証できない、のいずれかとなる。
現在、批判続出でも一応「形」となっているのは、政府による「強制加入」となっているからである。
リターンだけを追求する民営化では、「公的年金」は成立しえない。ただし、いずれ移管することになる新・社会保険庁の職員身分だけは、過去の轍もあるので、一考を要するであろう。
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