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2008-12-16 00:00
(連載)大恐慌を恐れず、新しい日本経済を築け(2)
角田 勝彦
団体役員・元大使
そのためにはまず第一に、現在の不況の規模を正しく認識する必要がある。1929年から33年の世界大恐慌においては、米国の株価は80%以上下落、工業生産は1/3以上低落、失業者数1200万人、失業率25%に達し、各国が封鎖的な経済圏を作り始め、世界経済がブロック化の方向へ進んだため、32年までに世界貿易は70.8%減少し、失業者は5000万人に達したと言われる。今回とは規模が違う。内閣府は、上記報告書で、70~80年代に起きた2度の世界同時不況に比べても、今回は中国、インド、ブラジルなど高成長を続ける新興国がプラス材料になるとしている。また現在は、世界が迅速に、かつ協調して問題解決にあたっている、という大きな違いがある。たとえば、金融サミットでは保護主義が拒否され、12月13日の初めての日中韓の独立首脳会談では、金融危機に共同対処することで一致を見た。
自動車産業を含む個々の企業が、内外需の減少を見越して、減産から雇用調整に走るのはやむをえないところもあるが、経営者は付和雷同しないよう努めるべきである。業種によっては、外国企業のM&Aのチャンスでもある。経営者はまた、解雇したからと言って、職員宿舎から直ちに立ち退きを求めるような非人間的行為は、できるだけ自制すべきである。一体全体、寒空に元従業員を追い出したあとの宿舎の空き部屋は、使い道があるのだろうか。日本的経営は忘れ去られたのであろうか。
それより重要なのは政治である。政府は「百年に一度の暴風雨」などと怯えすぎてはならない。その施策は縮み志向であってはならない。円高が示すように、経済面での世界による日本の評価は上昇している(たとえば次回の1人あたりGDP国際比較がどうなるか見たいところである)。麻生首相は、金融サミット後の記者会見で「新しい世界経済と金融というものに対応した国際的な経済システムの実現に向けて、引き続きリーダーシップを発揮してまいりたいと思っている」と述べたが、日本は世界的景気回復の柱となる潜在力を持っている。それは輸出増大によることは出来ない。1995年4月に円相場が1ドル=79円台まで急伸したとき、輸出企業が海外に生産拠点を移してしのいだような道は、世界的景気減速のため取れなくなってきているのである。
日本の取るべき具体的な道は、筆者が11月17~18日付け本欄への連載投稿「日本は内需拡大の成長戦略を打ち出せ(1)(2)」で主張したように、「健康・福祉」を突破口として、まず国民が裨益する需要の拡大を図ることである。これにより不況の克服のみならず、実際の価値に比べ明らかに過少評価されてきた国内関係資産及び人的資源の活用が実現するだろう。(おわり)
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