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2008-12-22 00:00
国民給付金1万2千円は、こう使え!
入山 映
・サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
12月11日付け本欄に「民に出来ることは民に」(859号)を投稿した。今日は、もう一つ日本では余り知られていない側面について、述べたい。「民」という言葉を聞いたときに、大方の日本人がイメージに浮かべるのは国鉄や郵政の民営化であり、あるいはハローワーク(何と言うネーミングだろう)を民間の会社に委せる(こちらの方はなんだかんだと言って実現せず、ひどく浮世離れした施設やサービスが温存されているが)、さらには役員が十何人いて職員が1人、みたいな外郭団体の仕事をやめるなり、民間の手に委ねる、みたいな話だろう。
要するに、採算が取れる事業として成立する可能性があるのなら、民間にやらせた方がうまくゆくに決まっている、という話だ。もちろんそれはそれで意味のある話だったり、望ましからざる副産物があったりするケースもあるが、ここでの話は、それとは違う。つまり、税金の形で一旦国が吸い上げて、それを役人が配分する、というのを止めて、自分たちが必要だと思い、大事だと評価することに、直接オカネを寄付する、というのはどうだろうという話だ。
例えば今回国民全員に配られることになった給付金1万2千円だが、これも元はと言えば自分で払った税金だ。それを、今度のような形ではなく、国民一人一人が現在不満に思っていること、もっとうまく出来ないかと思っていることに「寄付」する、という形にしたらどうだろう、という話である。それもお役所の予算に加算する、というのでは何をやっているか解らないから、例えば民間のNPOなり、公益法人、さらには産科医が足りなくて困っている医療法人でもいいから、100か200の団体のリスト(そのリスト自体、お役所が作ったのでは、これまた何をやっているか解らなくなるから、これぞと思う団体をみんなが指名することにする)とその仕事ぶりを明らかにして、あなたはどの団体に寄付したいと思いますか、と選ばせるのだ。
まあ2兆円あるから、200カ所に分ければ1カ所あたり100億円くらいにはなる。引きこもりの子供を集めて社会復帰させようとしているフリースクールや、きれいな飲み水を途上国に供給しようとしているNGO、さらには赤ひげみたいないい先生が1人でやっているが、後継者がいなくてなくなりそうな病院、有機農業で後継者難に悩んでいる農家のグループなどに寄付すれば、(1回こっきり百億円でどれほど長続きするか、はやりの言葉でいえば sustainable か、についての議論はあるかもしれないが)、仮に年利1%で運用しても1千万円にはなるのだから、悪い話ではないように思う。
これを絵空事だと思ってしまっては、ことは始まらない。こんな発想がお役人やお役人の知恵に依存している政治家からは出てくる筈がない。そんな発想もあり得るのではないか、という問いかけがあれば、いかようにでも対応は出来るのだ。最近流行のパブリック・コメントなるものが形骸化しているのは、誰でも知っている。「もしかして、内需喚起に2兆円を割く用意がある。知恵はないか」と問いかけ、かつその知恵を実現するだけの勇気があれば、絵空事にはならないのだ。与党自民党にしても、公明党にしても、「無策の限り」と冷笑されるほど知恵がないと自覚していれば、そんなに難しい話ではない筈なのだが。
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