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2009-01-12 00:00
給付金は民間非営利組織に寄付せよ!
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
12月22日付本欄に「国民給付金1万2千円は、こう使え!」と題し、緊急経済対策として2兆円の個人給付を行うことについて、それを個人の指定する民間組織に寄付することにしてはどうか、と提案した。これに似て非なるものが所謂「ふるさと納税制度」で、これの寄付先は地方自治体、すなわちオカミである。中央省庁ほどであるかないかは別にして、官僚主義、単年度予算主義の枠からは逃れられず、また逃れようともしていないところが、まだまだ多い。このブログの提案のミソは、寄付の受け取り先が民間機関、あるいは民間のグループであることで、しかも市民の共感を得ている実績のあるところに限定することにある。
民間組織はオカネのありがたみを知っているし、生かして使うことに長けている。もちろん民間組織にだっていかがわしいものはいくらでもあるが、その「めきき」は寄付者がすれば良いことだ。「めきき」の判断材料の提供の仕方については、幾つかの知恵もあるが、ここではそうした細部には立ち入らない。大事なのは、こうした柔軟な発想というのは、お役人に任せておいたら金輪際出てこないことで、お役人が知恵を絞っても、せいぜい出てきて「ふるさと納税」程度。要するに、お役人の頭のなかでは、税金の遣い勝手を決めるのは(中央か地方の違いこそあれ)官であるべきであって、納税者たる民ではないのだ。
先に「こういうアイディアは絵空事だと決めつけてはならない」と書いたが、これに類したアイディアは中央ヨーロッパでは10年以上前から現に実行されている。納税者が、自分の納税額の一定パーセントを、予めリストアップされた民間非営利組織に寄付できる。先駆者であるハンガリーでは、さすがに2兆円とはゆかないが、4年ほど前のデータでは、200億円ほどのオカネが民間非営利組織に流入した。日本でも千葉県市川市などの先進的な自治体では、類似の制度を導入している。
寄付金は一定限度所得控除できる。それを活用すれば良いことで、何もさらでだに乏しい国家財政からむしることはないだろう、という意見も聞こえてきそうだ。ところがこの所得控除たるや、控除できる寄付先は限られているのみならず、その寄付先として認められるためにはオカミがとんでもなく高いハードルを設定して、結果的にオカミの認めた分野・用途にしか寄付さえままならぬようになっている。要するに、「官」が選んだ「民」にしか、良いことは起こらない仕組みになっている。こういうのを「民」の手に渡ったとは言わない。
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