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2009-01-19 00:00
(連載)ガザ紛争とテロとの闘い:世界無極化の阻止(1)
角田 勝彦
団体役員・元大使
麻生首相は、近く国会で行う施政方針演説で、海賊対策のため、アフリカ・ソマリア沖へ海上自衛隊艦船を現行自衛隊法の海上警備行動発令で、早急に(3月にも)派遣すると同時に、海賊対策の新法制定へ全力を挙げる姿勢を示す由である。ソマリア付近での海賊事件が、2008年は111件と、前年の2.5倍に増え、国内でも日本関係船舶保護の要望があるほか、国連・EU・中国、インドを含む各国の国際協力が行われている現状を考えると、当然であろう。米国の衰退がもたらす可能性がある無極化(国際秩序崩壊)を、とくに脆弱地域などで阻止することは、世界共通の利益でもある。
無極化との関連で、「テロとの闘い(対テロ戦争)」のあり方が、最近関心を集めている。離任するシーファー駐日米大使は、1月7日読売新聞社とのインタビューで、オバマ新政権が重視するアフガニスタン本土でのテロ・治安対策や復興支援拡大に関し、自衛隊は送れなくても医療や上下水道整備、選挙支援といった分野での日本の貢献拡大に期待感を示したというが、ここで論じたいのは、ガザ紛争にも関連する、国際テロに対処するための基本的な考え方である。昨年12月以来のパレスチナ自治区ガザの紛争は、多くの民間人、とくに子どもを含むパレスチナ側の死者が1200人を越し、さらに増えていく現状から、世界的なイスラエル批判を生んでいる。
ハマスのロケット弾攻撃に端を発するイスラエルの空爆や地上進撃を過剰であるとして、世界各地で反イスラエルのデモが行われ、アラブ諸国を中心に多くの国から非難の声が上がった。1月8日には、米国の棄権もあり、国連安保理では即時停戦決議第1860号が採択され、16日には国連総会も停戦決議を採択した。我が国は、1千万ドル規模の緊急人道支援に加え、有馬中東和平担当特使派遣などを行っているが、1月16日、中曽根外相は、民間人の犠牲者が多数増加していることに強い遺憾の意を表明し、国連関連施設や病院にも被害をもたらしたイスラエル軍の攻撃を非難した。
国連安保理決議の実現のためのエジプトなどによる調停にも拘わらず、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(イスラエルは「テロ組織」であるとして、調印相手と認めていない)とイスラエルの「停戦条件」のすり合わせは、難航している。1月16日、イスラエルが停戦の不可欠の要素としているハマスによるガザへの武器密輸阻止について、米・イスラエル外相が、阻止に向け両国が協調して対策を取ることをうたった覚書に署名したことなどにより、イスラエルは17日夜ガザ地区の軍事作戦停止を発表した。これは20日のオバマ米新政権発足を踏まえた措置で、ハマスは、ガザ地区や周辺でのイスラエル軍の展開続行を不満としているが、停戦への進展が見込まれている。要するに「テロとの闘い」においても、取り得る手段は限られて来たのである。(つづく)
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