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2009-04-03 12:33
北朝鮮のミサイル問題について
船田 元
衆議院議員
北朝鮮は先日、この4月4日から8日にかけて「人工衛星(試験通信衛星)」を打ち上げ、その残骸が秋田沖の日本海と、太平洋のはるか彼方に落ちる可能性があるとして、国際海事機関に事前通告しました。ということは、明らかに日本上空、具体的には秋田県と岩手県の上空を通過することになり、大変問題があります。また仮に軌道が狂ったり失敗したりした場合は、その残骸が地上に落下する危険性も指摘されています。
北朝鮮はあくまで「人工衛星」の打ち上げといいますが、そのためのロケットは弾道ミサイルとほとんど変わりがありません。北朝鮮のミサイル発射を禁止した六カ国会合や国連決議に、明らかに違反することになります。わが国の安全保障にとって極めて大きな懸念となっています。北朝鮮の発表以来、わが国は北朝鮮に対して「ミサイル」発射の自制を促 したり、六カ国会合の構成国や国連に対して強くアピールしたりしてきました。安全保障の懸念ではありますが、まずは外交的手段で徹底的に抗議することが求められます。政府としては、もし発射した場合は、さらなる経済制裁措置も準備しています。
現在発射場においては、着々とその準備が進められており、今回も「テポドン2」が打たれるのではないかという観測です。我々の外交努力にもかかわらず、もし北朝鮮が強行した場合、我々は安全保障上の見地から、日本に落下してくる可能性のあるミサイルやその残骸を、上空で打ち落とさなければなりません。その根拠は、自衛隊法第82条の2第3項に求められ、「人命及び財産に対する被害を防止するため、日本の領域に落下することが確認された弾道ミサイル等を破壊する措置を命令できる」というものです。個別的自衛権の行使という世界ではなく、あくまで正当防衛や緊急避難の部類の措置です。
これを迎え撃つ装備としては、かなり高空であれば護衛艦に搭載されたスタンダード・ミサイルSM-3で対処し、地上近くなればペトリオット・ミサイルPAC-3で対処します。秒速数キロメートルにも達する高速のミサイルを、同じスピードをもったミサイルで迎え撃つわけですから、ピストルの弾をピストルの弾でぶつけるというくらい、難しい技術が要求されます。ところが先日政府高官が、「打つぞといってようやく当たるのだから、突然打たれたミサイルに当てるのは、ほとんど不可能に近い」と述べて物議を醸してしまいました。国民の不安を無用に起こす大変不用意な発言です。万一の際のミサイル破壊という目的が達成されますよう、自衛隊をはじめ関係者が全力を尽くしてくれるよう、心から祈っています。
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