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2009-10-09 07:43
危険!小沢の違憲まっしぐら路線
杉浦正章
政治評論家
言論人としてチェックしておかねばならぬ問題が台頭している。民主党幹事長・小沢一郎の政治姿勢だ。議員立法の禁止、官僚答弁禁止など明らかに憲法違反の疑いがある問題を矢継ぎ早に提起し、臨時国会での法改正を進めようとしている。まさに「小沢強権政治」の本性を現しつつあるのだ。その独断的言動には“異常性”すら感じられる。強権政治を野放しすれば、その行き着くところは全体主義となり得る。
日大法学研究科の中途退学だからと言うわけではないが、小沢の発言は、一時は弁護士を目指したとは思えないほど法律にうとい。本当に法律を知っているのだろうか。それも憲法違反の疑いのある問題ばかりだ。まず議員立法の禁止通達だ。法案決定を政府に一元化することが狙いだが、これは3権分立の根本にかかわる。国会が成立させた法律について内閣に拒否権はない。たとえ内閣の方針に反していても法律として直ちに成立する。国会が国権の最高機関と位置づけられるゆえんだ。議員立法には議員が長年個人的に研究を重ね、同志を募って提出にこぎ着けたものが多い。特に生命倫理にかかわるものが多く、最近では有志議員によって成立させた改正臓器移植法がよい例だ。議員立法は原則禁止し、法案提出は原則政府提案に限ることを決め、国会が自らの主権を放棄してよいのだろうか。民主党内から批判の声が上がるのも当然だ。
つぎに官僚に政府参考人としての答弁を禁止するための国会法改正である。これに関連して内閣法制局長官の国会答弁を禁止するという。小沢の主張は「脱官僚支配はまず国会から始めねばならない。国民の代表の政治家同士が議論できる国会にするよう、国会法などの改正作業もしたい」というものだ。これは憲法21条に定められた言論と表現の自由に抵触する可能性がある。国家公務員法に定められている官僚の通常業務を禁じれば、刑法の職務強要となる可能性もある。これにはさすがの社民党もあ然としたようで、幹事長・重野安正が「あえて法律を変えて、役人の答弁を禁止するのは、多様な言論を担保する国会でいかがなものか」と批判した。重野は小沢の浅薄な知識に「法律を変える理屈はあるのか」と問いかけている。内閣法制局長官の国会答弁禁止も、小沢と同法制局との怨念の戦いが背景にある。湾岸戦争の際小沢提唱の「国連平和協力法案」をめぐり、内閣法制局が自衛隊の派遣条件を厳しくとらえる憲法解釈を堅持して、反対して以来のバトルだ。
小沢は「内閣法制局はいらない」との暴論も吐いている。これも民主党の党是に反する。なぜなら集団的自衛権の行使に反対する民主党が内閣法制局を廃止すれば、行使を認めないとする最後の砦を失うことになるからである。それとも小沢は集団的自衛権行使を推し進めるつもりだろうか。ようやくスタートした民主党役員人事を見ても、側近だけで固め、「反小沢」系はもちろんのこと、「非小沢」系まで 干しにほした。西松疑惑での小沢辞任論に傾いた議員や、代表戦で岡田克也を支持したグループは干された。野田佳彦のグループにいたっては、役員会に入る者が1人もいない。要するに、小沢はきわめて気が弱く、側近、お追従議員を周りに置かないと安心できないタイプなのである。「何でも禁止」と包容力のない人事は、まるでミニ・ヒトラーのようでもある。放置すれば政界に危険な雰囲気が漂う。
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