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2009-12-12 00:12
許されない天皇陛下の政治利用
玉木 洋
大学教授
12月11日の報道によれば、習近平中国国家副主席が天皇陛下と特例的に会見できるよう日本側に求め、鳩山首相の指示によりそれが実現できることとなったとのことである。これは天皇陛下のご日程については、1ヶ月前までに正式文書で申請する必要がある、というルールを破るものである。これは単に形式的で瑣末なルールではなく、天皇陛下に政治状況に関係なく、公平・平等に諸外国からのお客様と面会していただくためのルールである。
時の政権が重要であると考える特定の国についてのみ、直前になってから無理やりご会見いただくというのは、許されないことであるし、天皇陛下は国政に関する権能を有しないという日本国憲法の規定にも反するものである。もちろん今回のことは、日米関係が危機的な状況にある中で、中国に対して従属した態度をとるという面からも、問題だ。
民主党が中国重視で、中国に従属的な態度をとる政党であることや、皇室の価値を十分に理解しない傾向のある議員が多数いる政党であることは、わかっていたことであるから、それに政権を与えた国民の責任でもあるが、国民は対中従属や天皇の政治利用を求めて、民主党に議席を与えたわけではない。
鳩山総理は、歴史やこれまでの慣習の意味、外交常識などについて、まさに宇宙人というほど常識からかけ離れた認識を持った政治家であることが、最近のさまざまなできごとから明らかになってきている。十分に事情を弁えた上で、悪習を改めるというならまだしも、単に状況が理解できずに、とんでもないことをし続けている、と解釈せざるを得ない。経済政策、日米同盟(普天間問題)などそれぞれに重大な問題を惹起しつづけている鳩山政権であるが、どうしてことごとく国民の利益、国家の利益に反する判断が次々とできるのであろうか。またしても、大きな問題を起こしてしまったと思う。
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